巨大戦力を束ね、頂点へと導いた巨人・原監督
5年ぶりとなった巨人優勝の大きな要因は、やはり
丸佳浩の加入でしょう。打線では丸の前後を打った
坂本勇人、
岡本和真という二〜四番が非常に機能していた。投手では最多勝のタイトルに輝いた
山口俊が予想以上のパフォーマンスでシーズン終盤には
菅野智之の穴を埋め、リリーフでは
中川皓太が苦しいブルペンを救った。昨年途中、すい星のごとく現れた
広島・
フランスアのように、リードした展開を何とか勝ちにつなげることができたのが大きい。抑え候補だった
クックのメドが立たないとみるや、シーズン中にもかかわらずデラロサを獲得するなど、フロントの動きも早かった。
原(
原辰徳)監督は“フラット”に戦力をとらえ、指揮を執っていた印象です。つまり、ベテランもルーキーも外国人も関係なく、実力至上主義で選手を起用していた。
ゲレーロには犠牲バントを命じたり、抹消もした。先入観にとらわれることなく状態のいい選手を見極め、起用できた采配がリーグ制覇へと導きました。その手腕はすごいなと感じました。
DeNAは最後まで巨人に勝ち越せなかった。4月に10連敗しながら、よく盛り返しましたが、
宮崎敏郎、
伊藤光のケガが痛かったです。
パットンも冷蔵庫を殴って消え、巨人と首位を追う時期の離脱者が痛かった。ですから、よく2位に食い込んだなという印象です。打線でひっくり返した試合も多く、攻撃陣はよかっただけに、先発でもう2人、規定投球回数をクリアしていれば、優勝も狙えたと思います。
接戦に持ち込んでリリーフ陣で勝利を呼び込むのが
阪神の勝ちパターン。先発では新加入の
西勇輝が最後までしっかり投げ切り、最終的に2ケタ勝ったのが大きかった。投手陣は素晴らしく、リリーフではジョンソンをはじめ、
藤川球児もクローザーで力強さが戻った。先発が、西、
青柳晃洋、
ガルシアに続く投手が出てくれば、来年は投手王国となる可能性もある。最終的に3位に食い込みCSファーストステージを突破したように、かみ合えば力を発揮するチーム。
矢野燿大監督2年目となる来季は不気味な存在となりそうです。
抜けた丸の穴は簡単には埋まりません。そこだけにこだわるより、それ以外の部分をどう伸ばして、勝っていくか。広島には、その考えが足りなかったように感じます。打線の負担を
鈴木誠也が負わざるをえなかった。先発はそろっていたのにリリーフがダメで、クローザーの
中崎翔太が機能しなかった。リードしていた試合をひっくり返されるとダメージは大きいし、それが連敗につながってしまいました。今季、逆転負けが32試合。昨年までは逆転で勝ってきたチームが、こういう展開になると厳しいです。
中日は5位ではあったけれど、収穫のあった1年だったと思います。メンバーもそろってきました。先発投手は
大野雄大、
柳裕也、
ロメロ。中継ぎの
ロドリゲスもよかった。野手も固定できるメンバーになってきた。内野には
阿部寿樹、
福田永将、
高橋周平、
京田陽太。
ビシエドは手を抜かずにプレーするし、外野には
平田良介、
大島洋平と実績のある2人がいる。シーズン全体では苦しんだかもしれませんが、後半はAクラス争いも繰り広げ、明るい兆しが見え始めた感じはあります。
ヤクルトは16連敗がすべてだった。先発投手が機能せずに、中継ぎへの負担も大きく持ちこたえられなかった。厳しいチーム状況の中で
村上宗隆が新しい風を吹かせてくれました。今年のセ・リーグは、どの球団も大型連敗があった。その連敗を最小限にとどめた巨人がVの座に就いたと見てもいいでしょう。
PROFILE 野村弘樹/のむら・ひろき◎1969年6月30日生まれ。広島県出身。左投左打。PL学園高では
立浪和義(元中日)らと甲子園春夏連覇を達成し、1988年ドラフト3位で大洋(現DeNA)に入団。以後、大洋・横浜で左腕エースとして活躍、98年には日本一への原動力となった。02年限りで現役を引退。現在は野球解説者として活躍する。