左肩痛から戻ってきた。一軍で通用することを自ら証明して見せた。39歳で迎える2020年シーズン、体の衰えは間違いなくある。それでも、さらなる高みに向け、歩みを止めない左腕。彼に「引退」の2文字は似合わない。 取材・構成=菅原梨恵 写真=田中慎一郎(インタビュー)、BBM 絶対に一軍に戻ってみせる
2018年は春季キャンプで違和感を覚えた左肩の影響により、日本球界では初めて一軍登板なしに終わった。気が付けばチーム最年長の38歳。さまざまな苦しみを乗り越えて復活を遂げた今季を、和田毅は静かに振り返った。 今年1月のことを考えると、最後まさか日本シリーズまで投げられるとは思っていませんでした。痛みはもちろんですが、まずは腕を振る怖さがありました。それを乗り越えたら、今度はどうやったらいいボールを投げられるか。そうなってくると、肩の負担とかも変わってきます。新たな不安とも闘わなければいけなかったです。
真っすぐしか投げていない中での肩の違和感、引っ掛かりというところから、今度は変化球を投げ出すので、変化球に対しては肩がどういう反応を起こすのか、まったく分からなかった。変化球を投げて肩が痛くて投げられないとなったら、また一歩後退。投球の幅を狭めてしまうことにもなりますし、それでは上(一軍)で通用しないということは目に見えています。逆に投げられるようになってからのほうが不安は大きくなりましたね。
それでも6月5日の一軍復帰戦を迎えるまでに二軍で7試合に登板して、「こういう感じで投げることができれば、一軍である程度、通用する“かもしれない”」くらいのところまで持ってこられました。もちろん一軍では1年半ほど投げてなかったわけですし、一軍と二軍でのレベルの違いは自分でも分かっています。球場の雰囲気も違えば、力の入り具合も変わってくるなとは思っていたので、正直「絶対に抑えられる」という確信はなかったです。ただ、ある程度、投げることはできるだろうとは思っていました。
6月5日の
中日戦、ヤフオクドームのマウンドは実に593日ぶり。「本当に大丈夫か!?」と心配そうに見てくださっているファンの方が多かったのではないでしょうか。そんな中、マウンドに上がる前のウオーミングアップでグラウンドに出たときから、
大勢の方の拍手や、「頑張れ」「待っていたよ」という励ましの声が、僕の耳に飛び込んできた。まさかあんなにたくさんの歓声をいただけるとは思っていませんでした。本当にリハビリを頑張ってきてよかったと思えた瞬間ですし、やはり・・・
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