このチャンスを逃すまい――。2017年育成ドラフト1位で外野手として入団もバットが振るわず、「もうクビだ」と思った失意の中で、差した光が18年途中の投手転向だ。昨季途中に支配下登録を勝ち取り、プロ初勝利もマーク。野手で結果を残せなかった男の覚悟は、誰よりも強い。 取材・構成=鶴田成秀 写真=佐藤真一(インタビュー)、BBM 変わった意識
悔しさが成長を支えた。野手として支配下登録を目指すも、ファームで結果を残せず出場機会が激減。そんなとき投手転向のチャンスが訪れた。そして一人の先輩右腕の姿勢を目の当たりにし、“意識”が変わっていく。 ──投手に本格転向した昨季。振り返れば、どんな1年でしたか。
張 とにかく、すごい1年でした。僕自身も結婚して家族ができ、責任感も出て。18年途中に投手転向してから、すごく成長したなと周りからも言われましたし、自分でも実感できた1年でした。ただ、良いことばかりではなく、ダメなときはとことんダメで。波が激しい1年でもあった。良いときもあったけど、すぐに下に落ちてしまって。
──それはメンタル的にですか、それとも技術的に。
張 両方ありますけど、特に技術だと思います。技術がないから調子に波がある。それをなくすために、今年は覚悟と自覚を持って挑みたい。常に良いパフォーマンスを維持しないといけないと思っています。
──気持ちを奮い立たせる原動力は。
張 野手で成功できなかった悔しさです。その思いから「上に行きたい」「一軍で投げたい」と常に思っている。みんなに僕のことを知ってほしいと、常に前向きのことを考えているんです。
──そもそも投手転向を決意した際、悩むことはなかったのでしょうか。
張 なかったです。自分でも分かっていたんですよね。このままだったらシーズン終了後にクビになる、と。
──結果が出なかったことで、そう思っていたのですか。
張 そもそも1年目と比べて出場試合数が全然違いましたから(1年目=59試合、2年目=15試合)。スタメンも1回だけ。打席は7、8回しか立っていない。もう終わりだと思っていました。自分でも心が燃え尽きていたんです。
──二軍の
酒井勉、
弓岡敬二郎の両コーチに「投げてみろ」と言われて投球練習を始めたそうですね。
張 あのときファームの遠征中で僕は残留組だったんです。正直、残留練習もやる気が出なくて。その練習が終わったときに・・・
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