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特別寄稿

住田ワタリのメキシコ野球紀行 異国で知った「日本の指導力」の重要性

 

アメリカでスポーツ医学を学び、日本だけでなく、世界各地でトレーニングを指導してきた住田ワタリ氏。自らの目と足で各国の野球事情を視察する同氏が今回訪れたのはメキシコだ。
文・写真=住田ワタリ

アルフレド・ハルプ・ヘル・アカデミーの選手たち。みな明るい


1年を通しプロ野球が行われる野球大国


「14歳のプロ野球選手?」。幼さが残る選手たちは目が合う私に向かってニコリと微笑み、「コモエスタ?(元気ですか)」と右手を差し出した。首都メキシコシティから高速バスで南に7時間、古都オアハカのバスターミナルに降り立った。

 メキシコ合衆国(以下メキシコ)は夏季と冬季にプロリーグがあり1年を通してプロ野球が行われている野球大国。国内主要都市を中心に16球団で争うのが夏季リーグのリーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボール(以下LMB)だ。選手の契約年齢が16歳以上のアメリカ・MLBと異なり、LMBは14歳から選手契約が可能。オアハカ市郊外にあるアカデミーの門をくぐり、数面のグラウンドを横目にしばらく走ると、「アキ、エスタ(着いたよ)」と車が停まった。目の前には野球アカデミーの施設とは思えないモダンな作りの建物が朝日に照らされていた。

 アルフレド・ハルプ・ヘル・アカデミー(以下AHH)と名付けられたベースボールアカデミーは今年で創設10年を迎えた。施設の中に足を踏み入れると創設者の「思い」が至る所に込められている。正面玄関に飾られたオアハカ原産の天然石の壁画には悪魔(ディアブロ)と戦士(ゲレロ)が描かれ、その存在感に圧倒される。ロビーには野球関連の古切手や絵画のコレクションが陳列されている。天井からはボールをイメージした作品が吊るされ、バットを利用した作品が飾られた個室もある。まるで美術館のような施設について、「オーナーの思いが反映されている」とAHHの総責任者ホルヘ氏が説明してくれた。

 オーナーはLMBの2球団、ディアブロス・ロハス・デ・メヒコとゲレロス・デ・オアハカの所有者、MLBサンディエゴ・パドレスの投資家、実業家であり慈善家のアルフレド・ハルプ・ヘル氏。AHHは「メキシコ人のスポーツ環境の改善・強化、芸術や美術など文化に触れる場、教育機会の提供」という彼の思いが詰められた施設である。野球以外のスキル向上、育成も掲げるアカデミーには図書室があり、全員必修の英語クラスや市内の学校に通学する教育プログラムが整備されている。時間厳守や整理整頓、あいさつやゲストへの応答等、マナーもここで学ぶ。初対面のゲストに対して気持ちの良いあいさつを思い出した。

 案内されたコーチ室、そこには数十台の携帯電話が置かれていた。案内役のメキシコ野球界のレジェンドでAHHの野球統括責任者のダニエル・フェルナンド氏は、「われわれは親代わりでもある、管理は必要だ」と話す。夜9時に選手はコーチ室に携帯電話を預ける。食事は決められた時間内に全員でとる。ルールを破ると・・・

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