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吉田正尚の頂ロード Road to Top × ふるさと紀行

吉田正尚コラム「ここからスタートした野球人生。僕の原点です」

 

無我夢中でバットを振った幼少期。5歳から野球を始め「誰よりも遠くに飛ばしたい」の思いが芽生えていった。納得するまで振り込んだあのころがあるから、今の自分がいる──。福井にある実家の庭で行ったティー打撃が、頂を目指す男の出発点だ。連載『吉田正尚コラム』の最終回は、オフ企画『ふるさと紀行』とのコラボでお届け。オリックスの明日を担う背番号34の原点は、ここにある。
写真=佐藤真一


重さ1キロのバットを手に納得するまでティー打撃


 今でも明確な答えが分からないほど、野球は自然の流れで始めたんです。3つ年上の兄貴が野球チームに入っていたのもありましたが、気が付けばボールを追い掛け、バットを握って練習をしていた。と言っても当時は“練習”という意識はなかったと思うんです。誰よりもボールを遠くに飛ばしたい──。その一心でバットを振っていた。だから「1日○本」というようなノルマもなかったし、自分が納得するまでやっていました。ボールを打つのが好きだから、自分がやりたいからやる。純粋に野球を楽しんでいたんです。

 ご挨拶が遅れましたが、皆さん、明けましておめでとうございます。2020年が始まり、シーズンへ向けて1月8日から沖縄で自主トレもスタートしました。その直前、年末年始は実家に里帰り。毎年、雪が降っているのですが、今年は雨でした。でも、不思議なもので久しぶりとはいえ、実家だと夜はすんなり寝付けるものですよね。それに今年は“ふるさと”で原点回帰してきました。実家に帰れば、冒頭で書いた幼少期のころを思い出すことがあるんです。

 実家が“原点”なのは当たり前。ただ、僕にとっては“実家の庭”は特にそう。というのも、幼いときから庭の木にネットを張ってティー打撃を行っていたんです。学校から帰れば、オトン(父親)にボールを上げてもらい、とにかく打ち込んでいました。「もっと打ちたい」「まだ打ちたい」と僕はワガママを言っていたそうです(笑)。庭でティー打撃を行った後は、近所のバッティングセンターに行って、さらに振り込むこともあったし、バッティングセンターが先で夜遅くにティー打撃を行うこともあった。とにかく無我夢中で野球を楽しんだ幼少期の思い出が、ここには詰まっているんです。

 今では、そのティーネットはなくなってしまいました。昨年の台風上陸を前に、防災のために木を切ってしまったんです。でも、この場所に立つと、当時の記憶がよみがえる。思い返せば・・・

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