プロ4年目、先発として一軍のマウンドで勝負を続けた。4勝6敗という数字はもちろん、満足できるものではない。「先発投手の役割とは?」を自問自答する日々を過ごした左腕。多くの課題を抱えながらも、つかみかけた確かな手応えを信じて、輝ける未来へ歩を進める。 取材・構成=富田庸、写真=桜井ひとし(インタビュー)、BBM 学び多き1年を経て
投手陣に不安を抱えるチーム状況の中で、若きホープと呼べる存在だ。右足を高々と上げて速球を投げ込むさまは、見る者のワクワク感を煽(あお)る。それでも結果がすべての世界。22歳のサウスポーは、さらなる高みを目指すために必要なものを模索している。 ──1000万円増の1700万円で契約更改(金額は推定)。俗に言う「バラ色のオフ」を過ごせましたか。
高橋 いえいえ、全然(苦笑)。正直、「これだ」と言えるような手応えはあまりなかったんです。ただ、長く一軍にいさせてもらい、一軍のバッターと対戦できたというのは、自分の中で大きな経験になったと思います。
──昨季はまず、開幕5戦目に先発の機会を得ましたが、序盤に失点を重ねる試合も多く、なかなか勝利を手にすることができませんでした。
高橋 初勝利は6月に入ってからで、9戦目の
ロッテ戦(6月23日、神宮)ですよね……。「勝ちたい」という気持ちが先走るばかりで、5回をもたずに交代という試合を繰り返してしまいました。チームにも迷惑を掛けましたし、ずっと苦しかったです。
──その中で何か、勝利を手にするきっかけがあったのでしょうか。
高橋 とにかく勝ちにこだわり過ぎているというか、「(勝利投手の権利を得る)5回まではしっかり投げよう」と思っていました。とにかく1回、1回、全力で腕を振っていたし、気持ちに余裕がなかったのは確かですね。でも、1つ勝ちを手にしてからは気持ちがラクになり、ピッチングの中で押したり引いたりができるようになった気がします。決して力を抜くというわけではないんですけど。
──悪い流れの中で、周囲からのアドバイスはありましたか。
高橋 投手コーチからは「いい球は行っているけど、(勝つために)あと一つ、何かを変えないといけない」と言われていて。それがスライダーでした。それまでは大きく曲がっていて、ストライクが取れない、三振も取りにくいという状況で。そこで、小さく曲がるスライダーを習得して、それが後半戦で少しは力を発揮したと思います。
──修正できたことが収穫だった。
高橋 そうですね。周りのアドバイスがあってこそですが、自分で・・・
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