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“令和”新時代を切り拓く男たち RISING SUN INTERVIEW

オリックス・頓宮裕真インタビュー 納得できる勝負を 「自分の野球人生、後悔したくない」

 

強打を買われてプロ入りと同時に三塁転向も、不慣れな守備でミスが続くとバットも湿り、1年目は故障で戦線離脱した。苦しみ抜いた末に決断を下す。「後悔はしたくない」──。捕手再転向を志願した“2年目のルーキー”に迷いはない。
取材・構成=鶴田成秀、写真=佐藤真一


覚悟の捕手再転向


 背番号44と言葉を交わすと、いつもその声は枯れている。「元気を出したからって試合に出られるわけではないんですけどね」と笑うが、練習でも試合でも誰よりも声を張り上げるのは向上心の表れ。一軍で試合に出るために“本職”で勝負することを決めた今季。いつもの“潰(つぶ)れた声”で、その覚悟を語る。

──昨シーズンに比べて、体がさらに大きくなりましたね。

頓宮 大きくはなりましたけど、良い感じに絞れてもいるんですよ。体重も5キロ増えて、筋肉量も増えましたけど、体脂肪は減っている。体は良い感じになってきています。

──体のサイズアップは意図して行ったのでしょうか。

頓宮 トレーニングの結果です。オフはランニングを中心にやりましたし、食事も考えながらしていました。

──それは、昨年7月に右足を疲労骨折したことも1つの理由ですか。

頓宮 はい。ケガをしないためにどうするのかをより考えるようになったんです。その中で体をつくっていこう、と。それに昨年は体のことも含めてすべての面でまだまだと感じた1年でした。ただ、多くのことを経験できたシーズンでもあったんです。一軍で試合も出れたし、二軍に落ちてケガもした。今考えれば一通りの経験ができたのかなと思うんです。決して良いシーズンではなかったですが、すべてが今につながっていると思います。

──その故障中には捕手への再転向も志願しています。

頓宮 ケガをしていたので、じっくりと考える時間があったんですよね。このままでいいのだろうか、自分はどうなりたいのか、と考えてキャッチャーで勝負しようと決めました。ケガをしたことはいいことではないですけど、ケガをしたから自分と向き合う時間がつくれた。ケガをムダにしないためにも、キャッチャーとして頑張らないといけません。

──“シーズン中”に決断した理由は。

頓宮 夢だったプロに入れましたし、そこで活躍できる可能性がある三塁に挑戦しました。でも、開幕したら打てずに二軍に落ちてケガもした。ここで終わりたくないという思いが一番だったんです。僕は野球を始めたころから、ずっとキャッチャーをやってきた。いつクビになるか分からない中で、後悔のない野球人生にしたいと思ったんです。言い方は悪いですけど、自分の中では「サードを“やらされている”」という感覚がずっとあったのが正直なところ。そういう気持ちでサードをやって結果が出ないのなら、後悔をしないようにキャッチャーで勝負しようと。それでダメならダメであきらめもつくと思って。

──“クビ”という言葉も出ましたが、1年目から危機感もあったのですね。

頓宮 このまま2、3年できたとしても……と考えたんです。言ってみればサードは・・・

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