※今号(2020年3月23日号)は、「3.20」開催を前提に記事を構成しており、本誌の締め切り日(3月9日)に発表されたNPBの開幕延期と取材時期との関係上、一部、事実と齟齬が生じております。ご了承ください。 最下位からの巻き返しへ、扇の要を担う男は、自らの役目を十分に理解している。リードで、そしてバットで勝利に貢献するべく、明確な意識を持つ背番号37が新シーズンへの決意を語った。 取材・構成=鶴田成秀 写真=湯浅芳昭(インタビュー)、佐藤真一 戦う姿勢を維持するため
いかに失点を防いでいくか。9イニングを守り抜く中で、昨季のとある惜敗から1つの答えが出た。ベンチの雰囲気も含め、攻撃に流れをつなげるために、扇の要を担う男は“点の取られ方”を意識する。 ──最下位からの巻き返しを期す今シーズン。開幕が迫っています。
若月 昨年の経験を生かしていきたいですね。昨年は、これまでで一番試合にも出ましたし、チームも最下位に終わってしまった。自分にとって、本当に大変なシーズンでしたから。
──キャリアハイの138試合に出場し、教訓も得たと思いますが。
若月 教訓というか、一番は失点の考え方が変わりました。「点を取られない」と考えてはいけない。そう思うようになったんです。
──というのは。
若月 言葉の綾ではないですが“失点”と言うと堅苦しくなって失敗も増えてくる。だから、試合が終わったときに「相手よりも点を取られない」ことが大事なんだと思うようになったんです。1、2点のビハインドでも、そのまま試合をつくっていく。当たり前ですが、追加点を与えて点差を広げられれば逆転の可能性は低くなります。だから、たとえ先制点を取られても、そのあとに、どれだけ粘れるか。そうすれば試合は分からなくなる。粘って“何とかなる”という試合を増やせれば、もっともっと戦えると思うんです。
──昨季のイニング別の失点を見れば、確かに3、4回の失点の多さも目立ちます。
若月 今年は、それをどれだけ防げるかですよね。ビハインドで投げているときのピッチャーに、どれだけ粘らせてあげられるか。
──そのために大事なことは何だと考えていますか。
若月 1点を与えることを怖がらないことです。結局、1点を防ぎにいって大量失点ということが多かった。ヒットだけじゃなく、大事に大事にいって、フォアボールでランナーをためて、ドカンと長打を打たれたり。試合状況をしっかり読んで、点を取られていいところは「取られていい」と思うようになりました。
──いい意味での“開き直り”ですね。
若月 それも必要だと思うんです。昨年の試合で・・・
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