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田中大貴のMonthly Column

田中大貴コラム 『松坂世代』あの夏から22年目の延長戦 「工藤隆人は、トレード、戦力外通告、合同トライアウト……。さまざまな局面を乗り越えてきた苦労人」

 

兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第24回です。

今季は中日の二軍外野守備走塁コーチ[一塁ベースコーチも担当]を務める/写真右


10球団で22人が指導者として活動


 球春到来。2020年の開幕がいよいよ近づいてきました。

 2月にキャンプ地を取材巡りし、オープン戦を観戦、グランドに降りると松坂世代が現場でコーチングを行う姿が非常に目立ちました。

 阿部慎之助監督率いる巨人の二軍グランドに行けば、村田修一がいて、杉内俊哉がいて、木佐貫洋がいて、實松一成がいて、三軍では加藤健が汗を流しながら若手を熱血指導している姿を見て心が躍りました。

 この連載でも杉内や村田がコーチに就任する際にインタビューをさせてもらいました。あのとき、「まず若手を教えたい。一軍ではなく、できれば二軍、三軍の選手をできるだけ多く見て、彼らの心境を知り、一緒にどう課題をクリアしていくか考え、コーチとして成長していきたい」と2人そろって語っていたのを思い出します。あれから時は経ち、表情からはコーチとしての迫力を感じるようになってきています。

 当初、同世代が指導者になることには違和感がありました。

 DeNA小池正晃がコーチに就任したのが6年前のことです。彼は当時33歳で、現役に交じってもそん色なくプレーできそうな雰囲気が漂っていました。「まだできるんじゃないの?」そう思っていたからかもしれません。彼は一軍打撃コーチ、一軍外野守備走塁コーチ、二軍打撃コーチを経て、現在は二軍の外野守備走塁コーチを担当。さまざまな役職を経験しながら、成長を続けるベイスターズを支え、着実にコーチングの腕を上げています。

 松坂世代で最初に一軍監督となった平石洋介は今季、楽天の監督からソフトバンクのコーチに転身しました。松坂世代での現役監督は、“今”はいない状況にはなりましたが、実に10球団でコーチとして指導を行う時代となり、22人が現役時代さながら、熱い思いを持ってコーチングに当たっています。

 松坂世代は約100人の選手がプロの門をたたき、今の段階で、その5分の1が・・・

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