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再録 新春スペシャル対談(2017年1月23日号)

野村克也×福本豊 対談 プロ野球の魅力を語り尽くす

 

前号に続き(→野村克也×池山隆寛×内藤尚行 燕の黄金時代対談)野村克也氏の対談を再録し、紹介する。相手は“世界の盗塁王”福本豊氏だ。刺すか刺されるか。捕手・野村がクイックモーションを考えたのも、対福本のためだった。2万字のロングインタビューだったので、後半の一部のみ抜粋した。

福本氏が甘党の野村氏にと、あんぱんをお土産に


鶴岡監督、西本監督2人の“恩師”との関係


 2人には自他ともに認める恩師がいる。野村氏が鶴岡(山本一人)監督、福本氏が西本幸雄監督だ。

──阪急といえば闘将・西本幸雄監督ですね。怖い方だったようですが、怒られたことは。

福本 そんなにはなかったですよ。僕は要領よかったから(笑)。

野村 バッティング指導が好きな人だったね。西本さんは、いつもバッティングケージばかり行って、ブルペン行ったの見たことない。一度、「先輩はピッチャーのこと気になりませんか」って聞いたら、「俺はピッチャーのことは分からん」ってひとことやった(笑)。

福本 西本さんは僕に「インハイのストレートを打てんかったらレギュラー取れへんぞ」と言ってた。「バッターというのはみんなツボを持っているから、それを殺したらあかん。間違ごうてパカンとホームランいくときもあるし、それで相手は警戒するんや」って。だから僕みたいなチビでも「当てにいくな、腰でスイングしろ」ってずっと言われましたね。だいたい西本さんがいなきゃ、僕は使ってもらえなかった。どうでもいい選手がこうやって化けるんだなって、僕は、ほんとそう思いました。入ったときは3年もつかなと思ってましたからね。あの練習に、まずついていけるかなって。打球はセカンドの頭を越えんし、守備もまったくダメでしたが、やってるうちにうまくなっていった。だからよう言うのは「ヘタは必ずうまくなる」です。

──野村さん、「走者福本」ではなく「打者福本」対策はいかがでしたか。

野村 打たれたよ(即答)。

福本 ふつうくらいです。ふつうがどのくらいか知りませんが(笑)。ノムさんとの対戦は、駆け出しのころは、へいへいへいで、あっという間に終わったけど、それも勉強になった。したんじゃなくて、勉強させられたというかね。敵やけど、僕はそう思っとった。毎打席攻めが違うし、あんなに考えさせられたキャッチャーはいない。クイックもそうですよ。勢いだけで何も考えなかったのが、けん制が増えて、フォームが小さくなって、刺されるようになって考えるようになった。だから成長できたと思ってます。

──ある意味、師匠ですね。

福本 直接なにか教えてもらったことがあるわけじゃないですけどね。

──野村さんの配球で、すごいと思ったのは。

福本 いろいろあるけど、一番は二死満塁フルカウントから平気でボール球を投げさせたこと。外のスライダーとか、こっちは空振りばっかりです。西本さんには、「どうしてボール球を振るんや!」って怒られたけど、絶対ストライクくると思うでしょ。

野村 バッターが外国人だと余計簡単。年間打点いくつで契約してる選手が多いから、満塁だと、むちゃくちゃ振ってくる。ロッテのリー兄弟がそうだった。金田(金田正一)監督(400勝左腕。監督としてはロッテで1974年日本一に)はランエンドヒットをよくやってきたから、賭けだけど・・・

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