当時から負けん気は人一倍──。昨オフ、楽天からの育成再契約を断りロッテに移籍した身長167センチの小柄な内野手の原動力は、幼きころから“目標”であり“負けん気”だった。福島県いわき市の『小名浜少年野球教室』の監督が悔しさを糧にした西巻賢二の学童時代を回顧する。 取材・構成=鶴田成秀、写真=BBM 泣くんじゃない! 悔しさをマウンドでぶつけてこい。
試合中のベンチで、彼にこう言ったのを昨日のことのように覚えています。その試合は東京で行われた全国大会の準々決勝(大田スタジアム)。相手は大阪の強豪・長曽根ストロングスで、相手投手は現在、
西武でプレーしている
西川愛也君でした。先攻のウチ(小名浜少年野球教室)は、一番・西巻の二塁打から1点を取って幸先よくスタートを切ったんです。
あきらめない大切さ
西巻が涙を流したのは1回裏が終わった直後のこと。『一番・投手』だった彼は先発マウンドにも上がったのですが、四死球と安打で二死満塁のピンチを招き……。ただ、気持ちの強い子だったので、決して怯(ひる)むことはなかったんです。外角低めにボールを投げ続け、フルカウントになっても、ファウルで粘られても、決して弱気になったわけではなかった。でも、気持ちに反して結果は二者連続の押し出し四球で逆転を許す形に。完全なボール球ではなかったんです。キャッチャーが構えたミットは動かず、外角低めにコントロールされた本当に良いボールでした。それだけに悔しかったのでしょうね。連続四球後に3つ目のアウトを奪ってベンチに戻ってくるなり、涙があふれ出たのだと思います。
とはいえ、まだ試合中で、それも初回が終わったばかり。私がゲキを飛ばすと、彼も奮起してくれました。2回以降、打たれたヒットは、わずか3本。気持ちを立て直し、スコアボードにゼロを並べてくれました。試合は、そのまま1対2で敗れ、試合後に涙した西巻でしたが、そこでは私は・・・
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