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温故知新のプロ野球

インフルエンザとプロ野球

 

戦後の地方遠征風景。試合の宣伝も兼ね、球場までトラックで移動したときの1枚のようだ


1957年のアジアかぜ


 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、過去の例に挙げられることが多かったのが「スペインかぜ」だ。1918年から20年にかけ、一説では世界で5000万人以上の死者を出し、日本でも39万人近くが命を落とした。ほかにも、幾度となく大きな被害をもたらしたインフルエンザがあったが、36年のプロ野球スタートからで考えると、「アジアかぜ」と呼ばれた57年が有名だ。

 今回同様、中国から始まったと言われるインフルエンザで、世界で100万人以上、日本でも、子どもと高齢者を中心に5700人ほどの死者が出たと言われている。細かく死因を検査していた時代ではないので、おそらく国内では、その倍以上の死者がいたのではないかと推測される。

 時代もあって、試合スケジュールの変更や感染拡大防止策などは特に取られていなかったようだが、プロ野球への影響は少なからずあった。これもまた(と書くと申し訳ないが)、阪神の被害が大きく、『阪神タイガース 昭和のあゆみ』によれば、5月末からチーム内で流行が始まり、一時はベンチ入り可能な選手が15人前後まで減ってしまったという。

 この非常事態に対しコミッショナーは、当時選手登録を抹消すると1カ月は再登録できないというルールがあったのだが、支配下選手ならいつでも登録でき、登録と同時に試合に出場しても差し支えないという特例を救済処置として設けた。

 それで人数だけは確保した阪神だったが・・・

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