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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

短期連載ダンプ辻コラム 第19回「関根さんからの突然の引退勧告」

 

堅実かつ華麗な守備で魅せた阪神吉田義男


カマボコ板キャッチ


 最近の野球を見ていて思うのは、体も大きくなったし、パワーやスピードはものすごいけど、技術はどうでしょうね。こういう話をすると、「昔はよかった」みたいな、じじい話に聞こえそうでイヤなんですが(笑)、間違いなく、粗っぽくなったとは思いますよ、特に守備は。

 例えば、吉田(吉田義男)さん(阪神の遊撃手)のタッチプレーですが、盗塁やゲッツーで二塁ベースで待っているとき、送球がショートバウンドするときがあるじゃないですか。えっ? 僕はワンバンの送球は、ほとんどなかったと思いますよ。吉田さんに聞いたら「忘れとるだけや」と怒られるかもしれんから、「たぶん」とつけておいてください(笑)。

 今は見ていると、そういう球は必ず少し引くように捕るからグラブが少し上がる。クロスプレーだと、そのグラブの下をくぐるようにスライディングが来て、かぶせるようにタッチにいっています。

 吉田さんはまったく違いました。ノーバウンドでもショートバウンドでも捕ったら、絶対に引いたりせず、そのまますっとベースの前に持っていき、そこにスライディングが来てアウトにする。1秒あるかないかかもしれんけど、吉田さんのほうが間違いなく速いでしょう。これはね、アウトにするためのキャッチングをしているからです。今の人は“捕る”と“タッチ”が別になっているんじゃないですかね。吉田さんはそれが一緒にできる人でした。

 いつも右手を上からかぶせるようにしながら両手で捕っていましたが、それも別に基本に忠実にというのではなく・・・

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