週刊ベースボールONLINE

新時代を翔ける男たち SUN RISE INTERVIEW

西武・宮川哲インタビュー 中途半端はいらない。 「初勝利はうれしかったですけど、その日だけでした」

 

今季、東芝からドラフト1位で入団した25歳。躍動感あふれる投球に加え、パワーを兼ね備え、変化球にキレがある右腕だ。気持ちも強く、即戦力として期待というスカウト評どおりに開幕から中継ぎとして一軍戦力に。ファンも背番号15の投球に魅了されている。
取材・構成=小林光男 写真=佐藤真一、BBM

10月1日のオリックス戦(京セラドーム)でプロ初勝利を挙げて、辻発彦監督(左)と記念撮影。ウイニングボールは「両親に渡したい」と言う


満塁のピンチで重用


 座右の銘は「勝つか負けるか」。やるかやられるかの“戦場”であるマウンドにおいて気持ちで負けてしまうことを何よりも嫌う。セールスポイントは強気なピッチングスタイル。どんな場面でも、どんな強打者相手でも、ひるむことなく立ち向かう。10月11日現在(以下、同)、チームで2位の40試合に登板。まだ、競った展開のビハインドでの登板が多いが、豪快に腕を振る背番号15の存在感は高まっている。

――ここまで中継ぎで1勝1敗10ホールドをマークしています。

宮川 数多く試合で投げさせてもらって、勝敗の展開を左右する場面での登板も結構あります。そういった大事な場面で打たれることも多いので、そこをしっかりと抑えられる投手にならなければいけないと常に思っていますね。中途半端はいりません。

――「勝つか負けるか」を貫けていますか。

宮川 いや、自分では分からないですね。そこは、他人が評価することだと思いますから。

――点数をつけるとしたら、ここまでの出来は何点ですか。

宮川 いや、全然あまり良くないと思います。打たれていることばかりですから。

――開幕から一軍で投げ続けていますが、ここまでで一番印象深いことは何ですか。

宮川 満塁の場面でマウンドに上がって、打たれることもあったんですけど、抑えられたこともあるので、それが一番印象に残っています。

――36イニングで39三振を奪い、奪三振率が9.75と高いことから満塁のピンチで重宝され、痛打を浴びたこともありますが14打数2安打、5奪三振、2四球、被打率.143と抑えているのは立派です。

宮川 ピンチの場面は絶対に打たせない、点を与えない……と言いたいところですが、特に何も考えていないです。それよりもキャッチャーミットを目がけて、自分のボールを思い切って投げるだけです。

――プロ初登板は6月20日の日本ハム戦(メットライフ)。1点ビハインドの8回に登板、2四球が絡み二死満塁のピンチをつくりました。

宮川 やっぱり緊張感もありましたし、思うように投げられないという感じもありました。マウンドに来た西口(西口文也)コーチに「普通に投げろ」と言われて、何とか抑えることができましたね(渡邉諒を投ゴロ)。

――三振に対する考え方は。

宮川 もちろん、満塁の場面や三振が欲しいピンチでマウンドに上がったときは狙っていきます。ただ、回頭などは三振を奪いにいくことはないですね。1シーズン投げ抜くことを考えたら、球数を抑えたほうがいいですから。

――そのあたりはコーチ、先輩投手からのアドバイスも。

宮川 そうですね。もちろん投球フォームとかに関してもアドバイスをもらうことも多いですが、僕は練習で毎日のように遠投をしていたんですよね。だけど、「それじゃあ、体がもたなくなるよ」とも言われましたね。やっぱり、シーズンは長いですから、先を見据えていろいろと考えていかなければいけません。それは勉強になったところです。

――ブルペンで先輩投手の姿を見ていて勉強になることは。

宮川 やっぱり、抑えの増田(増田達至)さんなんかは、いざマウンドに上がるとなったときは、メッチャ集中しているのが手に取るように分かります。ゾーンに入っているというか、その高い集中力は本当にすごいなと感心していますね。

――宮川投手自身も集中力を高める方法はあるんですか。

宮川 いや、分からないです。マウンドに上がれば自然とスイッチが入る感じですかね。

力強いピッチングで打者を抑え込んでいく


任された場面で抑える


 今季の最速は153キロ。力強い直球にカットボール、パワーカーブ、フォークが持ち球だが、どの球種も精度は高い。2ストライク後に投じる球種はストレート48.8%、パワーカーブ25.4%、フォーク17.1%、カットボール8.8%と、どの球種でも勝負することができている。もちろん、まだ完ぺきではない。成長の余地はあるが、素地の良さは抜群だ。

――内角を攻める投球も目立ちます。

宮川 メンタルで負けたら終わりだと思っているので、気持ちでは負けないようにしています。

――現在、最も自信のある球種は。

宮川 カットボールですかね。まだカーブは制球が悪いので、修正していきたいですね。

――ストレートに関してはいかがでしょうか。どのようなものを追い求めている?

宮川 質は高めていきたいですね。結論を言えば打者を抑えられるストレートなんですけど(笑)。スピードを追い求めるのではなくて、回転数や、とにかく打者が打ちにくいストレートを身につけたいですね。

――この投手のようなストレートを投げたいというのは。

宮川 増田さんみたいなストレートを投げたいです。なんかもう、言い方は悪いかもしれないですけど、えげつないストレートですから。

――精神的、肉体的に疲労度はいかがですか。

宮川 全然大丈夫です。極端に落ち込むこともありません。

――中継ぎは気持ちの切り替えも特に大事だと思います。

宮川 そうですね。それはできているとは思うんですけど、まだ「打たれたな……」というのは残ったりします。

――その悔しさを消し去るには?

宮川 それはもう、打たれた打者と次に当たったとき抑えるしかありません。

――ドラフト1位のプライドのようなものはありますか。

宮川 いや、ドラフトの順位は関係なく1年間、一軍で投げてチームの勝利に貢献したいという思いは強いです。

――10月1日のオリックス戦(京セラドーム)では7回を無失点に抑え、直後の攻撃で味方が逆転。プロ初勝利が転がり込んできました。

宮川 素直にうれしかったですけど、その日だけでという感じでした。

――将来的に先発を務めてみたい気持ちは。

宮川 特に考えていません。中継ぎの勝ちパターンで投げてみたい気持ちはありますけど、先発にしろ、中継ぎにしろ、チームから任せられた役割をしっかりとこなすことだけですから。

――担当だった竹下潤スカウトは「世の中をパッと明るくする豪快な投手になってほしい」と願っています。

宮川 僕のピッチングを見て、野球をやりたいと思うような子どもが出てきてくれたらうれしいですね。そのためにも、与えられた場面でしっかりと抑えて、チームからも、ファンからも信頼される投手になっていきたいです。

――日本史が好きだそうですね。

宮川 幼いころから歴史が好きで、時代劇を見たり、歴史の本を読んだりしてきました。歴史上の人物はなんかカッコいいじゃないですか。結構、武田信玄のものを見たり、読んだりすることが多かったので、好きですね。

――残り試合も少なくなってきましたが、今後の目標は。

宮川 ケガをせずに、しっかり最後まで一軍で投げ抜くことですね。とにかくマウンドに上がったら結果を残していきたいです。

宮川哲の現在地&ターゲット


【現在地】競った展開の中継ぎ
【ターゲット】勝利の方程式 or 先発

 春季キャンプではA班スタートも右太ももを痛めたため2月下旬にB班へ。結局、コロナ禍の影響で開幕が遅れた関係で一軍スタートできたが、それも自粛期間中にしっかりと自覚を持って調整してきたからだ。開幕後もワンポイントや回またぎなど、さまざまな状況に対応し、首脳陣の信頼を勝ち取った。競った展開や流れを変えたいときなど、勝敗を左右する役割も与えられている。今後は勝利の方程式入り、または先発をこなすポテンシャルもあるだけに、どのような形の主力投手へと成長していくか楽しみだ。

PROFILE
みやがわ・てつ●1995年10月10日生まれ。右投右打。奈良県出身。177cm83kg。投手。東海大山形高-上武大-東芝-西武20(1)=1年目
■2020年成績/40試合、防御率4.00、1勝1敗10H0S ※10月11日現在

関連情報

関連キーワード検索

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング