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2020ドラフト総括

NPBスカウト最前線 2020-2019 オンライン新方式「10.26」3つの疑問を検証

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、10月26日のドラフト会議の光景は一変した。56回目にして初のリモート開催。会場は無観客で、報道陣の来場も認められなかった。東京都内のホテルで行われた「運命の日」。現場では何があったのか。
取材・構成=岡本朋祐、椎屋博幸 写真=榎本郁也、小山真司、高原由佳、BBM

昨年までは大宴会場でファン約1000人を招待したドラフト会場[下]も、今年は感染症の予防対策のため無観客。12球団には個室が用意された


[検証1]球団「個室会場」の現実


 新型コロナウイルスの感染予防対策――。昨年までのドラフトは大宴会場にNPB12球団の関係者が一堂に会し、一般のファン約1000人を招待していた。3密(密集・密接・密閉)を回避しなければいけない昨今、今年の運営は様変わりした。

 1フロアを貸し切り。12球団ごとにモニター付きの個室が用意され、入口から廊下を挟んで右手にパ・リーグ6球団、左手にセ・リーグ6球団が順位順(10月25日現在)で並んだ。この入口付近にはドラフト運営の中枢部となる「システムオペレーション」が設置され、ここに司会進行役やNPB職員らが配置。1位指名は12球団同時入札。重複した場合は別途、準備された「システムオペレーション」に隣接する「抽選会場」へ、司会進行役とクジを引く各球団の代表者が移動して行われた。

 球団部屋は1チーム6人以内。昨年までは丸テーブルを囲む形だったが、今年は長テーブルに3人が横並びで座り、アクリル板が設置された。定点カメラ2台(部屋全体、監督)により、会議中の表情、雰囲気をつぶさに確認することができた。日本ハム・大渕隆スカウト部長は言う。同球団は第1回1位入札で苫小牧駒大・伊藤大海の単独指名に成功。安堵の中で、ともに4球団が競合した近大・佐藤輝明(阪神1位)と、早大・早川隆久(楽天1位)の抽選を一歩引いた目で見ていたという。

「クジが当たったときの関係者の表情は印象的でしたね。昨年までだったら、どうしても周りの目もありますからね……。ドラフトは毎年、想定外のことが起こります。そこで『あの選手はまだ、残っているぞ』『ならば、次はあの選手でいこう』と、小声でなく、情報交換ができた。メリットのほうが大きかったです」

 オリックス牧田勝吾編成部副部長も率直な感想を、こう述べる。「1年間の集大成であるドラフトです。ファンの方からすれば例年とは異なる形式で、見ている側は違和感があったかもしれませんが、実際にわれわれがやることは例年と一緒。2位以降はウエーバー順で指名していきますが・・・

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