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2020球界ZOOM UP TEAM REPORT

最終盤で戻ったロッテのチーム力 “自力”で決めたCS進出

 

さあ、下克上だ!残り5試合を切った最終盤に“今季の戦い方”が戻った。11月4日に3位に転落も、翌5日からすべて“逆転”で3連勝、8日は2位を争う西武との直接対決を制してCS進出を決めた。息を吹き返したロッテが、ソフトバンクへのリベンジを期す。

CS進出を決めた11月8日の西武戦(ZOZOマリン)は3回に同点に追いつき、4回に藤岡のソロで逆転した/写真=高原由佳


 終わったわけではない──。そんな思いで、声援を送り続けたファンが集ったZOZOマリンの熱は増すばかり。11月8日の西武戦に勝てば、今季の2位が確定。クライマックスシリーズ(以下・CS)進出が決まる大一番も、ナインは笑顔を見せるなど、表情に硬さはない。それが、苦境に立たされても一体となって戦い抜いてきた、チームのたくましさを表していた。

 さかのぼること約1年前。シーズン最終戦となった9月24日の西武戦(ZOZOマリン)は、4対12で大敗した。西武に優勝を見せつけられただけでなく、CS進出を逃すシーズン4位が決定。そんな最終盤を戦っていた最中、井口資仁監督はチームの現状をこう話していた。

「どこか、あきらめが早いというか……。ベンチの中で、そんな姿勢が見られることがあった」

 ナインに植え付けた“最後まで戦う姿勢”は今季“粘り強さ”という形となって浸透していく。開幕戦(PayPayドーム)はサヨナラ負けこそ喫したが、ソフトバンクを相手に9回二死から同点に追いつく粘りを見せると、同2戦目から8連勝を飾って開幕ダッシュに成功。7月に入り、俊足巧打で打線をけん引していた荻野貴司が右太ももを痛めて離脱し、主砲・レアードも腰痛で戦列を離れるなど、不測の事態も続いたが、そのたびにチーム力でカバー。開幕直前に支配下登録された和田康士朗が台頭し、高卒3年目の安田尚憲が四番に座って奮闘した。そんな重圧を背負う安田が「まだまだ胸を張って四番とは言えない」と話す中、ときに五番を担った井上晴哉が「(四番の)大変さは分かる。だからサポートしたい」と、増した一体感も、より“粘り強さ”を生んでいった。

 投手陣も同様だ。7月にジャクソンが緊急退団すると、故障明けの唐川侑己が奮闘し、勝ち継投入り。8月には種市篤暉が右ヒジを痛めて離脱すれば、中村稔弥が救援から先発ローテへ。9月にセットアッパーのハーマンが右手を骨折で離脱を余儀なくされれば、巨人からトレード加入した澤村拓一が“8回の男”に君臨した。

 チーム打率はリーグ最下位ながら、ファウルで粘り、四球を得て好機をつくって足を絡めてワンチャンスをモノにする。そうして試合中盤から終盤に逆転すれば、あとは、7回・唐川、8回・澤村、9回・益田直也の勝ち継投がリードを守る。「あきらめが早い」と言われたナインは、いつしか“逆転の”と形容されるチームになっていた。

 だが・・・

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