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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

短期連載ダンプ辻コラム 第33回「捕手と打者とはだまし合い?(ダンプ捕手講座5)」

 

スライダーを覚えたことで投球の幅が広がった大洋・遠藤一彦


いろいろな過去から決断


D そうだ。余計なこと言うようだけど、この間、25×25とか5の掛け算の話をして、「明治の学生がみんな下を向いちゃった」と書いてあったじゃないですか。あれ、違うんですよね。

──えっ? 間違いでしたか。

D 僕がそう言ったかもしれんけど、明治じゃなくて、明治学院大学の連中を教えていたときの話です。

──すいません……。ダンプさんが明学大の野球部のコーチをしていた話は何度も聞いていました。

D 僕はいいけど、相手もあるしね。まあ、これはこれで終わりです。ただ、嫌味じゃなく、そういう、そのときはどうでもいいと思うような過去を覚えておくというのは、キャッチャーにも大事なんですよ。

 過去と言っても思い出話じゃないです。例えば、昔はなかったけど、今は球団が準備してくれたデータもそうです。ただ、それがすべてというわけじゃなく、それまでの試合とかで自分自身が感じたバッターが持つ傾向、直前の打席や、その打席でも1球1球の体の反応、表情の動きもある。そういったものを見ながら、そのバッターが何を狙っているか推測し、決断していきます。だからぼうっとしているように見せながらも、ダンプの高性能コンピューターは、いつもフル回転が必要になるわけです(笑)。あと、僕はバッターにも考えさせたかった。それも余計なことをいろいろとね。

──余計なことですか。

D 迷わせるということです。ここは外の真っすぐしかないという場面だったとしても、すぐサインを出して投げさせるんじゃなく、僕がマウンドに行ったり、時間を空けることでもバッターは迷う。間ですね。1、2、3で相手の考えどおりの球を投げたら、いくらいい球でも当てられます。そのための方法もほんとたくさんあって、例えば、わざと無茶苦茶なサインを出して、味方のピッチャーに「この人、何を考えてるの」という顔させるだけでいいんですよ。実際には、その後、普通のサインを出して投げさせたとしても、相手はいらんことを考え始めて、なかなかバットが出なかったりする。

──野村(野村克也)さん(南海ほか)のささやき戦術と似たようなものですか。

D いや、それはどうかな(笑)。僕は口下手だったし、あんなことはようやらんかったですけどね。そう言えば、野村さんとは阪神時代、南海とオープン戦をしたときによく話をしました。いつも・・・

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