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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

短期連載ダンプ辻コラム 第37回「自分のフォームが分からなくなった理由とは」

 

70年阪神入団の上田


曲がらないカーブ?


 今回は次朗(上田次朗)の話からいきましょうか。東海大から昭和45年(1970年)、村山(村山実)さんの監督1年目に入ったサイドスローの投手で、体に力があり、プロに入ったときからバランスの良いフォームをしていました。ただ、最初は、球種が真っすぐと横のカーブくらいしかなかった。球速がある右のサイドは、カーブがあれば右バッターは何とかなるんですが、どうしても左打者にはボールの軌道が見られやすく苦しいところがあります。それもあって、村山さんの命令で、落ちる球、要はシンカーを投げろとなったんですが、リストを使った投げ方をしていたのと、指が短いこともあって、なかなか落ちませんでした。

 そこで僕が考えたのが、曲がらないカーブです。左バッターの外に投げるんですけど、ボール自体はカーブの回転をしながらも曲がらない。バッターはスピードと回転を見て、入ってくるカーブだと思って振ろうとしたところで「あれ?」となって手を止め、見逃しのストライクになるんです。投げ方にコツがありまして、ふつうはフォロースルーで手を体のほうに回していく動きがあるじゃないですか。それをせんで、正面で止めるんですよ。それでリリースの瞬間、手の甲をベースの外角に合わすようにしながらひねって投げる。そうすると、回転だけして曲がらない魔球になるわけです。ちなみに、詳しい理屈は知らんですよ。そういうふうに投げるピッチャーのカーブが曲がらんかったのを覚えていただけです。

 要はバッターの体に染みついた習性を使う球ですが・・・

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