週刊ベースボールONLINE

ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

短期連載ダンプ辻コラム 第36回「ベンチへの打ち込み名人2人」

 

阪神時代の小玉。背番号は3だった


ノースリーで打たない王さん


 今回の日本シリーズはテレビで見ていましたが、巨人の小童(こわっぱ)たちがまったく働けなかったですね。まあ、調子に乗っていた若いもんが、短期決戦でまったくダメというのはありがちではありますが、これは昔の巨人じゃ絶対なかったなと思ったことがあります。

 一番打者の吉川(吉川尚輝)だったと思うけど、先頭打者が出た後、ワンスリー(3ボール1ストライク)から簡単に打ってセンターフライになったシーンがありましたよね(3戦目6回)。絶好調の選手ならともかくさっぱりなんだから、しっかり見て粘らんと。V9時代の一、二番の選手なら絶対にしないことです。打てんときほど、いろいろ仕掛けてくるやっかいな人たちでした。

 たぶん、王(王貞治)さんだって振らないですよ。長嶋(長嶋茂雄)さんは分からんけど(笑)。王さんは選球眼がよかったし、ノースリーでは絶対に振らん人だったからね。一度、ノースリーになったとき、遊んでみようと思って、打席の王さんに「ノースリーです。次はど真ん中に真っすぐいきますよ」と言ったことがある。「へえ、そうかい」と言いながら、実際にど真ん中を見送った後、「あれ?」ってボソリ。顔色は変わらんかったけど、少しムッとしたのかもしれないですね。次の球は見事なホームランでした(笑)。

 あのころの巨人はONという、すごい選手がいたから、ほかの選手は彼らにチャンスで回そうと必死にやってたこともあるでしょうね。

 では、今回もタイガースで一緒にやった選手たちを、野手を中心に紹介していきます。まず、昭和43年(1968年)に近鉄から移籍してきた小玉(小玉明利)さんからいきましょうか。2000安打近くを打って(通算1963本)、近鉄時代は監督(選手兼任)までやっていた人ですが、阪神では結果を出せず、2年で終わられた。この方にもなぜかかわいがってもらいました。

 小玉さんで覚えているのは、試合中、僕が、こんな質問をしたときのことです・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング