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田中大貴のMonthly Column

田中大貴コラム 『松坂世代』あの夏から23年目の延長戦 「あと一歩、甲子園に届かず涙した松坂世代の好選手」

 

兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第33回です。

高知高3年時には、寺本四郎擁する明徳義塾高に、決勝で敗れる。延長11回の熱戦だった


素晴らしいライバル


 サイドハンドから地を這(は)うようなストレートが唸りを上げてキャッチャーミットに届く――。神宮球場のマウンドから、法大・土居龍太郎が投じた真っすぐの印象を今でも鮮明に覚えています。身長182cmの体は非常に大きく感じ、迫力がありました。彼のような投手がプロの世界に行き、変則モーションでありながら、2ケタ勝利する投手になるのであろう……。僕は打席に立ちながらそんなふうに感じていました。

「これが四国の土居龍太郎か。サイドからで、こんなボールを投げられるなんて……」

 四国・高知に「三羽ガラスあり」と言われた1998年。高知商高・藤川球児(元阪神ほか)、明徳義塾高・寺本四郎(元ロッテ)、そして高知高の土居龍太郎。そんな彼に高校、大学、プロとどのような思いでプレーしていたのか、率直な気持ちを聞いてみました。

「僕を含めて高知三羽ガラスと呼んでいただいていましたが、藤川君と寺本君は甲子園の土を踏んでいました。僕だけが踏んでいませんでした。だから常に僕が点を取られなければ負けないと思って投げていました」

 猛者の集う高知から法大へと進み、横浜ベイスターズに自由獲得枠で入団。高校時代は寺本らに阻まれ、甲子園出場経験はないものの、東京六大学できっちりと結果を残し、プロの世界へと進みました。

 2002年の東京六大学は、早大に和田毅(現ソフトバンク)、その一つ下の学年に鳥谷敬(現ロッテ)、青木宣親(現ヤクルト)、立大に多田野数人(元日本ハムほか)、上重聡(現日本テレビアナウンサー)、明大の2年生に一場靖弘(元楽天ほか)、3年生に牛田成樹(元横浜)、岡本篤志(元西武)、慶大に長田秀一郎(元西武ほか)、東大にも2年生に松家卓弘(元横浜ほか)がいて、法大にも後藤武敏(現楽天コーチ)、土居と、ドラフトの目玉がゴロゴロいた時代でした。

「高校3年生の春の時点ではプロに行きたいと思っていました。高校時代の監督である岡本道雄先生から・・・

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