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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第41回「あの球史に残る場面にはこんな裏話がありました」

 

敬遠球を空振りする田尾


練習の虫だった藤田平


 ほかのチームもそうだったと思いますが、昔の阪神の宿舎には、屋上にバットを振る場所がありました。寝る前に、素振りができる場所ですね。名古屋は3階の上の屋上にあって、マネジャーからは「辻君、長いことやりたいんだったら、あそこでバットを振っとけよ」と言われ、「はい!」と元気に答えたんですが……実際は行ったことなかったですね(笑)。

 というか、僕以外もほとんど見たことない。掛布(掛布雅之)はしていたらしいけど、あいつと一緒だったのは1年だけなんで、あんまり覚えていません。1人だけいつも振ってたのが、藤田平ですね。あと、昔はウエートの器具もないんで、ビール瓶に砂を入れたもので手首を鍛えたりしていましたね。ほんとストイックに一生懸命やっていました。

 平のバッティングは余計な力が入らず、すっとバットのヘッドが出る。バットコントロールがうまく、打撃も守備もですが、天才ではあったけど、努力もする天才でした。

 そんな平が首位打者を狙っていたときだったか(81年)、通算2000安打の前だったか(82年)忘れたけど、なかなかバットが出てこなかった時期があります。不調じゃないんですよ。打たなきゃと思うと、すくんで出ないんです。

 僕は当時、すでに大洋にいましたが、甲子園近くで、阪神時代にいつも行ってた焼肉屋のおばちゃんに、「平に1本、打たせてよ」と何度も言われ・・・

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