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挑む男2021

ロッテ・安田尚憲インタビュー 苦しみの光 「飛距離じゃない。今は打球の質を見ているんです」

 

追い求めるものは何なのか──。12球団の誰もが強い思いを胸に秘め、飛躍を期して挑む新シーズン。そんな男たちに焦点を当てる新連載第1回はロッテの若き主砲に迫る。四番を任され、もがき、苦しんだ昨季。苦悩の先に見えたものは、自らが進むべき確かな道だった。
取材・文=鶴田成秀 写真=高塩隆

攻守で向上を期すロッテ・安田。泥にまみれたユニフォームは、練習の意味や狙いの表れだ


質を高めて仕留める


 沖縄・石垣島の夜の一幕が、本気度を物語る。ブン、ブン──。夜風を切り裂くスイング。グラウンドでティー、ロングティー、フリーと続くメニュー、さらに、その合間にもスイングを繰り返し、手の皮がむけ、ボロボロになるまで振り込むも、宿舎の夜もバットを離すことはない。原動力は昨季、四番を任されながら打率.221、6本塁打、54打点に終わった悔しさに尽きる。

「4度目のキャンプですが、とにかく振り込み量は今までで一番。今年のキャンプはバッティングを中心に取り組んでいこうと思っていたので。とにかく振り込みました。昨年、初めて1年間一軍でプレーさせていただきましたが、実力不足を痛感しましたから。残した成績も全然、まだまだ。本当に悔しい1年だった」

 ティー打撃は地面に倒れ込むまで続くなど、日中のハードな練習を終えてもなおバットを振り、朝を迎えれば、左太もも内転筋の奥に張りを感じている。これが1つの成果。2004年のダイエー時代に三冠王を獲得した松中信彦氏が今キャンプから臨時コーチを務め、グラウンドでは「削れ! 削れ!!」の声を飛ばしたのは「下半身を意識する。下を使って打つため」。意識の徹底ぶりは、体が応えている。

「バットを振らない日はない。グラウンドでもとことん振っています。でも・・・

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