2021年注目のフレッシュな“力”に迫る連載インタビュー『Power Push』。第3回は、昨季のドラフト1位、高卒2年目の剛腕に迫る。自分の思いどおりにならない1年を過ごしたが、コーチのひと言で行くべき道が開けてきた。投手として全身全霊を懸けられる日々に感謝しながらさらに高い境地への進化を目指している。 取材・構成=椎屋博幸 写真=毛受亮介、高原由佳 力感をなくしたある“動作”
西純矢のイメージと言えば、帽子を振り落としてまで、全身を使って投げる力投型の投手だ。それが一変した。大きく振りかぶったかと思った瞬間、軽やかに足を上げて力感なくリリースへと向かっていく。まさにプロ仕様のムダのない投球フォームになっていた。 ──今季はマウンド上でリラックスして投げているように感じます。
西純矢(以下西純) 昨年の11月に安藤(
安藤優也、現二軍投手コーチ)さんから、マエケンさん(ツインズ・
前田健太)のように左足を上げたとき、一度グラブを上げた左足の上でポンと軽くたたくようなイメージを持ったらどうか、と言われました。マエケンさんの投球フォームはリラックスして投げているように見えますよね。そこで画像などで見ながら試してみたらしっくり来たので、今も参考にさせてもらい、意識してリラックスして投げるようにしています。
──なぜそういう投球フォームに変更しようとしたのでしょうか。
西純 それまでの投球フォームは、力みがあるのと同時に、テークバックのときに右手が下に最後まで落ち切らずに、いきなりトップ(頭の後ろ)に行く投げ方だったんです。この投げ方では、体全体の力をうまく使えなかったんです。自分の力を最大限に出すためには、右腕を下に持ってきてタメを作ることが大事だった。さらに余分な力を入れず、脱力できればリリースのときに一番力が発揮できる、そういうフォームにしました。それによりリリースのときもうまくタイミングが取れるようになりました。
──それまでの投球フォームではリリースのタイミングが合わないときがあったのでしょうか。
西純 トップの位置がうまく作れていなかったですね。腕が上がり切らない中で、そのまま力任せに投げていくこともありました。この投球フォームだと肩に負担が掛かってしまい、ボールの出力も落ち、シーズンを投げ切ることが難しくなると思っていました。
──昨シーズン、実際にそう感じることもあったのですか。
西純 シーズンの後半には140キロ台前半しか出なくなっていましたので。そこから、いろいろな投球フォームを試していく中で、この投げ方に行きつきました。
──プロは試合以外でも毎日何かしら投げないといけないですからね。
西純 高校だと投げない日もありますが、プロでは試合がない日にもブルペンで投げたりします。それで疲労が徐々にたまってきて、自分の中で変化しないといけないと思い出しました。
──今の投球フォームとなって何が一番変化しましたか。
西純 何がというよりも、すべてにおいてよくなっているとは感じていますが、一番は・・・
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