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裏方お仕事奮闘記

中日打撃投手兼記録ビデオ・小熊凌祐 チームを支える充実感「打たれても楽しいというのは、現役時代とはまるで正反対ですね」

 

チームの主役はもちろん選手だが、選手だけではチームは成り立たない。この連載はチームを陰から支えるスタッフにスポットを当てる企画。連載第3回は、現役から打撃投手へと転身した元中日小熊凌祐さんにお話をうかがった。ただし、小熊さんには打撃投手のほかにも記録ビデオという重要な任務がある。試合データをまとめるのも大きな仕事。やりがいを感じながらの毎日だ。
取材・文=牧野正 写真=榎本郁也

打撃投手兼記録ビデオ[チームスタッフ]/1年目


意識せずリズムよく


 ドラフト6位で中日に入団したのは2008年秋のことだった。滋賀県の近江高時代には夏に2度の甲子園出場がある。右ヒジの手術を経てプロ3年目から先発、中継ぎで通算90試合に登板して12勝を挙げたが、昨年はヒジの故障もあって一軍登板はなし。球団から戦力外通告を受け、12年間の現役生活に別れを告げることになった。

 (シーズン終盤の)11月くらいに球団から電話がかかってくるだろうとは思っていたんです。一昨年(19年)の成績が良くなくて、今年やらないと危ないだろうなと。それで右ヒジの痛みもあり、一度も投げられずにシーズンが終わってしまいましたから覚悟はしていました。ただ、そのときはもう全力で投げられる状態でしたので、トライアウトは受けることにしたんです。

 でも声は掛かりませんでした。であれば仕方がない、野球はもうやめるしかないと。次の仕事の具体的なイメージは特になく、でも何か仕事をしないといけないと思っていたところ、球団から連絡をいただきました。打撃投手の誘いで、すぐに返事をしましたね。全然迷いませんでした。選手ではないですけど、選手をサポートしていこうと気持ちも切り替わりました。

 最初は自分に打撃投手なんて務まるのかなと思いました。見ていて大変な仕事というのは分かっていましたから。しっかりストライクを投げられるのかなと。ただ・・・

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