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【特別インタビュー】球団の未来を語る

ロッテオーナー代行兼球団社長・河合克美インタビュー ファンを惹きつける確かな道

 

描く理想の未来はいかなるものか──。直撃取材に答えてくれたのは、ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長だ。全社員の考えを聞くことから始め、新たな“球団理念”を今年3月に策定したロッテは、中長期的なビジョンを明確化させた。だからこそ新型コロナ禍に揺れる中で、再確認したことがあると言う。
取材・構成=鶴田成秀 写真=中島奈津子


ビジョンからの逆算


──今回は球団の未来について、お話をお聞きしたいと思います。

河合 まさに今、社員たちと、そうした話をしているところでした。実は球団の明快な方向性や方針がこれまでなかった。私が社長を務めるのは2019年の12月からですが、若い社員たちも増えてきた中で『チームを本当に愛し、ともに生きていきたい』という社員たちにとって、大きな方向性が見えていないのは、決していいことではないと思ったんです。

──進む道を確かにしよう、と。

河合 ただ、その道を定めるにあたって『この方向性だ!』と私が押しつけるのは良くないとも思いました。納得する社員はいるかもしれないですが、全員の考え方なのかと問われると、ズレが生じることもあると思うんです。そもそも、そういうマーケティング戦略を取りまとめる部署自体もなかったんですよね。

──すると、まずは部署を立ち上げることから始めたのでしょうか。

河合 昨年にマーケティング戦略本部を作り、同時に球団全体の方向性を定めるプロジェクトを発足させました。参加者は、部署の枠を取っ払い、『参加したい社員は手を挙げてくれ』と募って。すると、全社員の半分が手を挙げたんです。

──枠を取り払った狙いというのは。

河合 “自分のこと”として考えてほしかったんです。立派なビジョンを掲げてカベに貼っても、自分のこととして考えることは正直、難しい。でも、自分たちでビジョンを描けば自然と『自分たちは、どうなりたいのか』を考えます。特に若い社員には10年後、20年後の自分を考えてほしかった。そのために、マリーンズという球団がどうあるべきかを考え、その球団の本質的な価値をどこに見い出していくのかを考えていく。“自分のこと”として考えてほしかったんです。

──他人ごとにしないためにも、希望者を募ったのですね。

河合 皆で考えましたから、時間もかけました。その中で出てきた言葉が『挑戦』『熱狂』『結束』の3つです。確かにマリーンズをよく知っている方たちにとって『俺たちのチームは、この言葉だよな』となります。私自身も納得しました。ただ『ちょっと待てよ』とも思ったんです。

──何がひっかかったのでしょう。

河合 一歩引いて3つの言葉を見たんです。マリーンズを知らない人の視点で。すると・・・

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