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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

ダンプ辻コラム 第55回 「僕も脇役となった江夏と王さんの名勝負(後編)」

 

江夏、王とも思い出に残る対決として挙げる一戦だった


竹元さん? 谷村さん?


 よく「カモにする」とか言いますよね。蛇ににらまれたカエルじゃないけど、その選手には、どうやっても歯が立たないみたいな関係です。僕が現役のときも、巨人の長嶋(長嶋茂雄)さん、王(王貞治)さんには、投げる前からビビッてしまう若いピッチャーがたくさんいた。

 僕が阪神のコーチ時代、カモられていたのを不思議なやり方で克服した選手がいました。当時の阪神のピッチャーは、中日の落合(落合博満)にカモられていたんですが、いろいろ記録を見直していたら、池田親興があまり打たれてないことに気づいた。

 なぜなんだろ、といろいろ観察したんですが、そんなにすごい真っすぐや変化球があるわけでもない。理由が分からず、本人に聞いても「さあ」だけでニヤニヤしている。それでも「何とか教えてよ」と拝まんばかりに頼んだら「投げるとき、キャッチャーのミットじゃなく、落合さんの目を見て投げる」と言うんです。どうやら落合は“これはぶつけられる”と思っていたらしい(笑)。それともシャイなんで見つめられて照れちゃったのかな(笑)。これは落合対策の秘密兵器になるかな、と思いましたが、しばらくしたら普通に打たれ出しました。でも、落合がすごいというだけで、意外と使えそうな気もしたんで、みんなに言ったんですが、採用されませんでした。

 おっと、前回の続きを始めないといかん。何人かは知らんけど、待ってる読者もいるかもしれませんしね。

 少し前号の終わりのほうを紹介しときましょう。昭和46年(1971年)9月15日、甲子園の巨人戦の話でした。2対0で勝っていたけど・・・

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