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SPECIAL INTERVIEW 輝ベテくラン

ヤクルト・石川雅規インタビュー 挑戦をやめない「ルールの範囲内でできることはすべてやって、打者を打ち取りたい」

 

悔しさ、歯がゆさ、さまざまな葛藤の中でもがいたが、行きつく答えはずっと変わらない。41歳左腕の投球術、そして不屈の精神に迫る。
取材・構成=依田真衣子 写真=榎本郁也、古賀恒雄

無失点に抑えてガッツポーズ。通算登板数は500近いが、いつも胸の中の闘志は消えない[写真=榎本郁也]


打ち取るためにあらゆる手を尽く


 打者を圧倒するような剛速球を投げられるわけではない。それでも、石川雅規は現役最多の176勝を挙げ、プロ20年目を迎えた今季も巧みな投球で打者を打ち取っている。41歳のベテラン左腕の活躍は、並々ならぬ努力に裏打ちされている

──実は今週号の特集は「最速に挑む」なのですが、石川選手は130キロ台のボールで、現役最多の176勝を挙げています。石川選手の存在が「球速がすべてではない」ことを証明しているようです。

石川 今は140キロ後半から150、160キロを投げる投手が、メジャーも含めてたくさんいますよね。だけど僕は、球速の実測値以上にバッターがどう感じるかが大事だと思っているんです。僕は130キロちょっとの真っすぐしか投げられませんが、その中でボールをどう速く見せるか。投手と打者って、タイミングのずらし合いだと思うんです。打者のタイミングでスイングさせないように、遅い真っすぐをいかに速く見せてファウルにさせられるかが、大事なのではないでしょうか。

──石川選手は打者の手元で動く変化球を巧みに操り、真っすぐと錯覚させて打たせて取る印象です。

石川 やっぱり基本は、真っすぐと同じ腕の振りでいろいろな変化球を投げたいんですよ。打者に近いところで変化球を操作するのは難しいことですし、自分のボールは打つことも捕ることもできないので、打者がどう体感しているかは分かりませんが、同じフォームで投げることで錯覚させられるのかな、と。打者が「真っすぐが来た!」と思って打ったボールが変化球で、芯がずれて打ち取れるのが理想ですよね。

──真っすぐと変化球で、同じ腕の振りをすることが重要なのですね。

石川 フォームの緩急に強弱、ボールの強弱でもそれはできます。ルールの範囲内でできることはすべてやって、打者を打ち取りたいと常々思っているので。

──打者が手を出さない限り、見逃し三振以外で打ち取る術はありません。“打たせる技術”は非常に大切になってきますね。

石川 そうですね。ストライクの取り方も、見逃し、空振り、ファウルと3つありますが、やはり・・・

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