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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第66回「大事なのはピッチャーを洗脳することです」

 

ダンプ流阪神・掛布対策とは


遅い球はより遅く


 前回は、僕の言葉で変わった人たちの話でしたが、今回も続きです。

 昭和43年(1968年)に、近鉄から伊藤幸男という、僕と同学年の男が阪神に来ました。奥さんは花村菊江さん。知っているでしょ? 知らん? ほんとですか? 若いふりしないでくださいね(笑)。有名な演歌歌手で、紅白歌合戦にも出た人です。オフになると、伊藤の自宅に奥様集団がパーティーをしに集まっていて、うちの奥さんも招待されて参加したことがあります。

 新しいピッチャーが来たら僕はまず観察します。当時は、ブルペンで受けながら、いかにピッチャーを育てるか、洗脳するかが面白くなっていた時期でもありました。伊藤の場合、近鉄では大した結果を出してなかったんで、僕とすればチャンスですよね。自分の力でいかに変えることができるかの勝負ができますから。

 とはいえ、別に伊藤の近くに行って「俺がお前を一人前にするから」と偉そうに言うわけじゃない。まずはじっと観察です。この選手の特徴は何か、それをどう生かした戦術が有効なのかをじっくり考えました。球を受けてるときだけじゃないですよ。伊藤というピッチャーの姿、球筋、性格までみんな頭に入れ、四六時中考えました。

 伊藤だけじゃない。阪神のピッチャーは全員です。こいつとは息が合ってるけど、こいつとは合わないなんてことがあったら試合に出してもらえなくなるでしょ。

 試合が始まっても・・・

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