チームとしても、個人としても、このまま終わるわけにはいかない。1カ月の中断期間を経て、身も心も新たに挑む後半戦。自分の投球を追い求めた先に勝利が、勝利の先にはリーグ連覇が見えてくる。 取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、桜井ひとし 不安を取り除いた1カ月
野球の金メダル獲得など数々の感動を呼んだオリンピックの真っただ中で、東浜巨は黙々と自分と向き合っていた。開幕に大きく出遅れ、わずか2勝に終わった前半戦。数字以上に、不安なく投げられるようにしたかった。その成果は早くも後半戦の初登板に表れる。8月14日の日本ハム戦(PayPayドーム)のマウンドには、これまでとは違った輝きを放つ右腕がいた。 ――いい形で後半戦のスタートを切りました。
東浜 オリンピックの中断期間で一から見直してきたので、それが成果として出せました。内容も良かったですし、一番は結果につながったことが大きかったです。いくら練習の中で「これをやっておけば大丈夫」と思っていても、試合でそれが成果として出ないと、やっぱりどこか自分の中で疑い始めてしまったりする。やってきたことをそのまま出せたので、そういった意味では自分の中で一つ、ステップアップしたかなとも思います。
――8月14日の試合は8回2安打無失点。自己最多の11奪三振。見ていて“新しい東浜投手”を感じました。
東浜 今年の前半戦、特に一軍に上がってからはなかなか三振が取れていませんでした。もともと三振を多く取るピッチャーではないんですけど、それでも空振りを奪えていなかったり、前に飛ばされ過ぎているなという印象があった。被打率も高かったですしね(※前半戦終了時点で.282)。そういう状況下で何とか抑えているという感じで、少し調子が悪くなると厳しいなと。その足りない部分を課題として、中断期間の1カ月間やってきたんです。だから、シーズンが再開して、狙っているわけではないのに三振が増えたというのは、自分にとってプラスになりますね。
――相手バッターも、いつもの東浜投手とは違ったイメージを抱いたはずです。
東浜 この前みたいな投球は、僕自身も幅が広がるというふうに考えています。これまでとは違った印象を相手バッターに植え付けさせるのはもちろん、対戦していない他チームに対してもそういう情報だけでも与えておければ、これからの対応が変わってくるはず。そういう意味でも、今後につながる登板だったんじゃないのかなと思います。
――先ほど中断期間に一から見直したと言っていましたが、具体的にはどんなところを見直してきたのでしょうか。
東浜 前半戦の自分は、しっかりと勝負できる体じゃなかったんです。どこか不安を抱えながら、大丈夫かなと思いながら投げていた。試合に対して100で入れていなかった。だから、一番は“体づくり”ですね。
――不安というのは、ここ数年のケガによるところが大きい?
東浜 いや、ケガした部分がどうこうというよりも・・・
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