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東京2020オリンピック PLAYBACK INTERVIEW

広島・栗林良吏 歓びの輪の中心で「皆がマウンドに駆け寄ってくる瞬間を味わえるのは9回に投げるピッチャーだけ。またあの輪の中に入りたい」

 

先週に続き、金メダル戦士のインタビューをお届けする。日本の金メダル決定の瞬間、マウンド上にいたのは、プロ野球の世界ではルーキーのピッチャーだった。全5試合に投げ、2勝3セーブの活躍。最初の登板では失点したが、2試合目からの立ち直りは見事だった。何がそれを可能にしたのか。そしてルーキーが大舞台で得たものとは――。
取材・構成=藤本泰祐

決勝戦、金メダル決定の瞬間、マウンドにいたのは栗林だった。クローザーにしか味わえないこの場面をまた味わいたいという気持ちになったという[写真=JMPA]


変化したルーティンをいつもの形に


 日本代表でもクローザーに指名された栗林良吏だが、初戦では失点を喫した。勝負は短期決戦。何を変えなければいけないか――。ルーキーは決断を迫られた。

――金メダルおめでとうございます。

栗林 ありがとうございます。気分は最高です。やっぱり、ここを目指してやってきた中で、それを達成できたのは、すごくうれしいことなので。金メダルは思っていたよりずっと重かったです。

――頑張って手にした分、余計に重い。

栗林 そうですね。5試合全部に投げさせてもらえたので、達成感もものすごくありますし、優勝した瞬間にマウンドにいられたことも大きいと思います。

――最後に金メダルのかかったマウンドに行くときはどんな気持ちでしたか。

栗林 8回の裏に1点取ってもらって2点差での9回だったので、少し余裕ができましたし、その中でもやっぱり「ゼロで抑えて、いい形で終わりたい」と思って上がりました。

――いよいよこのときが来たな、という感じはありましたか。

栗林 そんなにはなかったですね。決勝戦では田中将大さん(楽天)など先発の方もブルペンで準備していたので、そういう意味でも(その中で自分が)任せてもらえる以上は頑張っていきたいなと。

――2アウトからヒットを打たれ、ホームランで同点の状況になりました。

栗林 「ランナーが出たら一発警戒」というところだったので、「そうなったら注意しなきゃいけないな」と思っていたんですが、結果的に次の打者が初球を打ってくれたので、自分を追い込むこともなく、いい形で終われたと思います。

――1試合目のドミニカ共和国戦では、最初の打者から3ボール0ストライクになることが続いて、打たれてしまいました。

栗林 1試合目は、国際大会であり、地方球場であり、と、初めての状況が重なり、登板前のルーティンがいつもと違った動きになってしまったところがあって。いつもは・・・

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