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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第69回「僕はこうしてイップスを治しました」

 

阪神の木戸。85年の日本一メンバーでもある


もったいない2球


 この間、申し訳ないけど、巨人の大城(大城卓三)を悪い例にさせてもらい、勝負どころという話をしましたよね。本当は、1球1球ずっと集中しなきゃいけないんですが、試合は生き物なので、その中でも「ここだけは絶対に気をつけなきゃいけない」という場面が必ずあります。

 例えば、流れが相手に行きかけたときです。江夏(江夏豊。阪神ほか)みたいな例外はおるけど、案外、ピッチャーは分からないんですよ。自分のピッチングで頭がいっぱいで、試合の流れが変わったのに気づかないことも多い。キャッチャーかベンチが動いてやるしかないわけです。

 この間、巨人-DeNA戦(8月22日、東京ドーム)でもすごくもったいない場面がありました。ベイスターズが4対1で勝っていたけど、7回表かな。故障で二軍におった巨人の中川(中川皓太)が一軍に復帰登板して気持ちの入った投球をしたんですよ。テレビだったけど、「あれ、空気が変わったな」と思いました。その裏、岡本(岡本和真)が二塁打で、日本ハムを追い出された中田(中田翔)の打席です。一発があるバッターだし、巨人での初スタメンだから気合も入ってますよね。「この初球は慎重にいかなきゃいけないな」と思ったら、真ん中にすっと投げて2ランで追いつかれた。まあ、これは百歩譲って「仕方ないか」と思えますが、次の初球、ちょっと腕が緩んでたからチェンジアップかもしれないけど、また、すっと甘いところに来てウィーラーに連発を食らった。

 昔からホームランのあとの初球は要注意って言うじゃないですか。こういうことがないように、僕らは入り球を一生懸命研究し、若いピッチャーの尻をたたいて、外角低め、簡単には初球から手を出さない球を磨かせた。相手は外国人ですし、あそこは1球、ボール球でよかったくらいです。今永(今永昇太)も悪くなかっただけに、もったいなかったですね。

 じゃあ、この間の続きにいきましょうか。阪神のコーチ時代・・・

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