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好調打線のリードオフマン ZOOM UPインタビュー

ロッテ・荻野貴司 インタビュー 本能のままに「好きか嫌いかで言えば……。でも、塁に出ると走りたくなるんです」

 

活発な打線を武器に逆転優勝へ。一番打者として打線をけん引する男は、常に先を見てイメージを膨らませている。象徴するのが入団から12年連続2ケタを記録する盗塁だ。すべては勝利のため、そして星を重ねた先にある優勝の二文字のため。まだ見ぬ頂へ──。本能のままに走る男に迫る。
取材・構成=鶴田成秀 写真=高原由佳 ※成績は9月9日時点

6月22日のソフトバンク戦[ZOZOマリン]で今季10盗塁目をマーク。史上4人目となる入団から12年連続2ケタ盗塁となった


貪欲に次の塁を奪う 心に宿る1つの思い


 快足を武器に1年目の2010年は開幕から46試合で25盗塁と衝撃デビューを果たし、今季も6月に2ケタ盗塁に到達。入団から12年連続2ケタ盗塁は、史上4人しか成し得ていない偉大な記録だ。それは技術以上に、果敢な気持ちがあるから成し遂げられたもの。通算成功率も8割超を誇る“幕張の韋駄天”は、塁に出れば、“闘走本能”が駆り立てられる。

──今季も武器である足は健在。12年連続の2ケタ盗塁をマークし、ここまでリーグ5位の17を決めています。

荻野 でも今年は、ちょっと失敗が多いので(失敗10)。やっぱり成功率も求めていきたいなと思ってはいます。

──昨季は「率を気にし過ぎるとスタートを切れなくなる」と言っていましたが。

荻野 ただ、やっぱり失敗が増えると、減らさないといけないな、という思いは出てきます。スタートは思い切りかつ、失敗なく決められるのがベストです。

──今季はリーグトップの471得点と打線が活発。「失敗しない」=「あえて走らない」という選択も出てくるのでは。

荻野 それは確かに、僕も思うところというか、考えるところがあるんです。でも、打つほうも絶対ではない。もちろん、盗塁も絶対ではないですけど、チームとして「積極的に行こう」という方針なので。誰かに頼るわけではなく、自分が塁に出たら積極的に次の塁を狙っていく。その考えは常に頭にあるんです。

──「積極的に」の考えの中でスタートを切る決め手は何になるのでしょう。

荻野 状況によりますが、例えば、カウントであったり、カウントは関係なしにタイミングが合ってスタートを切れれば行くときもあります。あとは、いいピッチャーが相手で、なかなか点が取れないときは、カウントもタイミングも関係なくスタートを切ることもあるんです。このときは、成功を目指しつつも、ミスを誘うことも狙いの1つ。キャッチャーの捕球や送球ミスや、ピッチャーのコントロールミスといった『バッテリーミス』を誘えればいいな、と。

──盗塁成功を呼ぶために、スライディングも工夫を凝らしていますよね。

荻野 はい。ショートやセカンドの動きを見て、センター寄りだとタッチされやすいかな、と思ったら、本塁寄りの角に滑ることもありますからね。スライディングする直前に判断して。タッチされにくいところに滑れば、セーフになる確率も上がるので判断は大事だと思う。結果が変わってきますから。

──そうした考えを持っている盗塁ですが、プロ12年間で培ってきたことや今に生きる経験も多いと思います。

荻野 1年目に・・・

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