プロ5年目。期待を受け続けてきた打撃が、いよいよ花開いてきた。鈴木誠也のあとを受ける五番打者に定着し、リーグのトップを争う打率。しかも守備では、ある日はマスクをかぶり、ある日はファーストに就き、と大忙し。今や、広島打線には欠かせないポイントゲッターだ ※成績は9月16日現在
取材・構成=藤本泰祐 写真=前島 進 ケアすべき球をケアしながら合わせる
「隠れ首位打者」と言われていた坂倉将吾が表舞台に飛び出したのは、9月7日のことだ。9回裏に4点差を逆転したこの日の中日戦(マツダ広島)で、坂倉は9回裏二死一、二塁から逆転サヨナラ3ラン。規定打席に到達し、セ・リーグの打率トップに躍り出た。 ◎
――先日の逆転サヨナラ3ランはしびれました。
R.マルティネス投手の高めの速球を振り抜きましたが、真っすぐにしぼって打ったのでしょうか。
坂倉 そうですね。真っすぐがいいピッチャーなので、とりあえず、まずは真っすぐから入っていかないと打てない。そう思ったので、真っすぐに合わせていきました。
――変化球が来たらしょうがない、ぐらいの気持ちで。
坂倉 もう、空振りでいいと。そんな感じで思っていました。
――見事に読みが当たったわけですね。今年の打撃好調には、そのように読みがさえていることもあるのでしょうか。
坂倉 いえ、僕はもともと、そんなに読んで打てるタイプではないんで。そんなにガチガチに決め打ちするほど読むことはあまりないです。
――では、一番速いボールに合わせておいて、そこからいろいろなボールに対応していくようなタイプですか。
坂倉 まあそうですね。もちろん全部が全部そうじゃないですけれども。ピッチャーに応じて、その打席でケアすべき球をしっかりケアしながら、(そのほかのボールにも)合わせていければいいかな、という感じです。
――でも、ポジションがキャッチャーなので、やはり配球も読めて、今年はそれが当たっている感じはあるのでは。
坂倉 まあそうですね、それも多少なりともあるかなと思います。
――今年はすでに10本と、ホームランも増えてきました。
坂倉 もともとホームランをたくさん打つタイプではないと思っているのですが、今年は甘い球を、追い込まれる前の強いスイングができる段階でとらえられているのが一つと、失投というか、甘い球を比較的打ち損じることなくとらえられていることがあるのかなと思います。
チャンスではむしろつなぐ意識で
リーグの打率トップを争う位置につける坂倉だが、首位打者のタイトル、あるいは打率の数字については、「今から意識してもいいことはない」と言い切る。それよりも、チーム内での仕事として、全うしたいことが、意識の中で大きな位置を占めているようだ。 ◎
――今(インタビュー時点)は2位に下がってしまいましたが、サヨナラホームランを打った9月7日には、打率リーグトップに立ちました。
坂倉 初めてのことなので・・・
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