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実直なサイドスロー ZOOM UPインタビュー

中日・又吉克樹インタビュー チームを支える「便利屋」「そもそも僕は便利屋でいいと思っています。誰でもできることじゃないですから」

 

プロ8年目の今シーズンは中継ぎに抑えにフル回転。5年ぶりとなる60試合登板をすでにクリアした。この2年の不振を取り返すべく、抜群の安定感でチームの勝利に貢献。好調の要因は何なのか。タフネス右腕に話を聞いた。
取材・構成=牧野正 写真=小山真司

自分に足りないものは何か。現状に満足せず、常に進化を求める姿勢は又吉の大きな魅力だ


力任せからの脱皮ダルビッシュの教え


 開幕からチームに欠かせぬリリーフとして黙々と投げ続けている。序盤戦は中継ぎとして、5月下旬の交流戦からは抑えとしてマウンドに立ち、現在は再び中継ぎとして腕を振る。9月22日の阪神戦(バンテリン)では12球団最速で60試合登板に到達した。疲れ知らずのサイドスロー。チームは低迷しているが、自分がやるべきことは変わらない。



――シーズンも残りわずかですが、ここまで12球団最多の登板数(62試合)で防御率も1.37と素晴らしい成績です。その要因を教えてください。

又吉 昨年の終盤にケガ(左腹斜筋損傷で約2カ月の戦線離脱、9月に復帰)から戻って来て、少しフォームをいじったんですが、そのフォームに自信を持ててシーズンを終われていましたから、今季急に良くなったというよりは、昨年からのつながりだと思います。ケガも変なフォームだからなってしまったわけではなく、今まで力任せに投げていたフォームから効率良く投げられるようになったことで起きた。これまでなら問題がなかった筋肉に負担がかかったということですよね。それはケガをしたから気づけたことで、僕の中ではマイナスではなくプラスのケガでした。力任せに投げてはいないのにケガをしてしまった。であればその部分を鍛えればいいんだなと。

――ケガの功名ですか。

又吉 以前は100のパワーを100で出そうとしていたのですが、バランスやタイミングにさえ気をつけて投げれば100のパワーは出せるんだと。実際それでスピードも140キロ台後半が出ますからね。8年かかってやっと気づくことができました。岩瀬さん(岩瀬仁紀、元中日)からも「ようやく力任せに投げなくなったな」と言われました(笑)。

――それに加えて春季キャンプ中に大きな出来事がありましたね。

又吉 どちらかと言うとそっちのほうですよね。キャンプのときにダルビッシュ(ダルビッシュ有、パドレス)さんにツイッターを通じてカットボールを投げるときの手首の角度だったり、使い方を教えていただいたんです。そのときにチェンジアップも教えていただいて、それはこの後半戦からやっと使えるようになってきました。今まで変化球を投げるときは大きく曲げたい、打者のタイミングを外したい、とばかり思っていて、しかもそれを高速域のボールでしか投げられなかったんですが、大事なのは大きく曲げることではなく、すべてのボールが真っすぐから少しだけ変化をすればいいんだと。打者が打ったあとに「あれ、今どんなボールを打ったんだろう?」と考えてくれるようなボールが重要なんだなと。

――ダルビッシュ選手の教えでいろんなことに気づかされたわけですね。

又吉 一番うれしかったのはダルビッシュさんが僕のことをYou Tubeで調べてくれたことです。それで僕の投げ方を確認して、これなら大丈夫、投げられるからと。僕はたまたまオフに動作解析を行っていたので、僕の手元に手首だけの動画もあったんです。こんな感じでこんなふうに投げようと思っていますと動画を送ったら、まったく問題ないよと。まさか手首の使い方一つで、ここまでカットボールが良くなるとは思っていなかったので驚きました。本当にダルビッシュさんには感謝しています。

――マウンドでは常に淡々としているように見えますが、僅差の場面での登板ばかりで重圧も大きいのでは。

又吉 もちろん緊張はします。ただ・・・

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