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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第75回「駆け引きが多いほうが楽しくないですか」

 

10月3日、ホームランの丸。浮上のきっかけになるのか


野球選手は繰り返しです


 ピンときました。だから、あのときすぐ電話をしたんですよ。これはホームラン打つぞって思いましてね。そう言ったでしょ(編集部注:10月3日、突然、電話をもらった)。

 え? 確かに、かけたのは打ったあとだったけど、一瞬のことだから仕方ないでしょ。僕は予言者じゃないんだから、打つ前に電話はできません(笑)。「やられた!」と思ったら、ホームランになったんですよ。1人でテレビを見ていたんで、誰かに言わんといかんなと思いましてね。

 読者の皆さんにも、どんなシーンか伝えておきましょうか。DeNA戦(東京ドーム)の巨人丸佳浩のことです。ヒッチして打つバッターだけど、悪いときはグリップを下げたらすぐ出ていく。タイミングを外したら簡単に空振りを取れます。今年はそういう打席が多かった。

 けど、あのときは下げたあと、すぐ出ないで、少しバットを動かしたんですよ。それを見たとき、「やられた!」って思った。完全にキャッチャー目線ですね。テレビを見ていて、いまだにキャッチャーに感情移入してしまうことがあります。長いことやりましたから習性みたいなもんですね。

 現役のころもよくあったんです。バッターのちょっとした動きで、「これは」と思ったら持っていかれちゃうことが。ピッチャーの失投というより、バッターと完全にタイミングが合っちゃったときですね。キャッチャーなら、それは打たれる前に必ず分かります。まあ、ボールを捕るのが精いっぱいのキャッチャーでは難しいかもしれないですけどね。

 もし丸がこれから調子を上げたとしたら、あの打席がポイントになったし、このままダメなら、たまたまだったということでしょう。野球選手って、そういう繰り返しです。一度、つかんだものは絶対忘れない、と言うヤツがいたら、よほどの天才か、単なるウソつきです(笑)。

 憎まれ口のついでです。この試合、横浜のピッチャーの今永(今永昇太)がバントしてゲッツーになったシーンもあったじゃないですか(7回)。巨人サイドにしたら大成功なんですが・・・

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