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抑え1年目の舞台裏 ZOOM UPインタビュー

日本ハム・杉浦稔大 9回のマウンドで得た自信「今シーズンの経験は、僕の野球人生で間違いなくプラスになると信じています」

 

今季、プロ8年目にして初めてクローザーとしてシーズンを過ごした。キャリアハイの53試合に投げ、27セーブをマークするなどブルペンを支えている。順風満帆とはいかなかったが、9回のマウンドに立つことで190cmの長身右腕は、大きな飛躍を遂げていた。
取材・構成=滝川和臣 写真=山口高明、早浪章弘、高原由佳

夏場に調子を落とした時期もあったものの、9月、10月の2カ月は16試合で2失点の安定感。10セーブを挙げている


フルシーズンを投げ抜く難しさ


 ヤクルト時代をはじめ、日本ハムに移籍した2017年以降も先発として投げてきた。昨年はキャリアハイの7勝を挙げたが、シーズン終盤にはリリーフで起用。最終戦では初セーブをマークした。そんな右腕を栗山英樹監督は、今シーズンよりクローザーに抜てき。アウトローに糸を引くようなストレートとキレのあるスライダー、フォークを武器に打者を封じる杉浦稔大は、浮き沈みの激しいシーズンながら50試合以上に登板し、Bクラスに沈むチームの半分以上の勝ち星に貢献してきた。9回を任される責任感、重圧、難しさはどこにあったのだろう。

── 初めてクローザーとして過ごした今シーズンを振り返ると。

杉浦 先発とはまったく別ものだなというのが一番ですね。こうして1年を通して、9回のマウンドに上がるのは、別世界だと感じました。

──チームからクローザーをやることを聞かされたのはいつですか。

杉浦 キャンプの中盤ごろでした。

──それまでは、自主トレ、キャンプインと先発をやるつもりで過ごしてきた。

杉浦 リリーフをやるつもりできて、途中から先発に転向するのはきついですからね。例年どおり先発をやるつもりで自主トレでは体をつくっていました。当然、去年もリリーフをやっていたので、僕自身はチームに対して「好きなように使ってください」という気持ちでいましたから、リリーフをやってほしいと言われれば、その覚悟はしていました。

──先発とリリーフでは、体のつくり方は大きく変わってくるのものですか。

杉浦 体のつくり方や鍛える場所というよりは、日々の試合に向けてのリズム、準備の仕方、調整がまったく別ものです。最初は変化に順応するにあたっていろいろ苦労しました。今も何が正解なのか、探りながらやっています。

──ここまで53試合2勝2敗27セーブ、防御率2.73(10月22日時点)。この数字に関しては。

杉浦 数字だけを見たらボチボチかなと。ただ1年やってきた僕の感覚としては、数字以上に苦しんだシーズンでした。もうちょっとできたなって思う部分もありましたし、試合の最後に投げて9回でひっくり返されると……。無失点に抑えれば納得できるんですけど、そうした試合が1試合でもあるうちは満足できないです。「あの場面で抑えていれば、チームは勝っていた」と感じてしまいます。

──9回に手痛い一発、一打を浴びると、それがチームの勝敗に直結。あらためてタフなポジションです。

杉浦 そうですね。でも、それがクローザーの宿命だと思います。ただ、打たれても翌日に投げる可能性もあるので・・・

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