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いざ、日本一へ セ・パV戦士インタビュー

ヤクルト・嶋基宏 陰からVを支えた男「相手ベンチの雰囲気が良いって、脅威なんです」

 

村上宗隆塩見泰隆ら主力選手は、口をそろえてこう言う。「チームの雰囲気が良いのは、嶋さんのおかげ」。今季の出場数はわずか17試合だが、37歳のベテラン捕手のベンチでの振る舞いが、チームを盛り上げ、一つにした。個人成績には表れなくても間違いなく優勝の立役者である。
取材・構成=依田真衣子 写真=井田新輔、BBM


ムードメーカーとして


 開幕は、プロ入り15年目で初となる二軍スタート。それでも、3月31日に一軍登録されて以降、一度も登録を抹消されることなく、シーズンを完走した。出場試合数はキャリア最少となる17試合にとどまったが、ベンチ内外でチームメートに声を掛け、何かあればフォローした。陰でチームを支えてきた男が、シーズンを振り返る。

――まずはリーグ優勝おめでとうございます。

 ありがとうございます。

――今回、嶋選手にインタビューをお願いしたのは、村上宗隆選手や塩見泰隆選手が「チームの雰囲気が良いのは嶋さんのおかげ」と言っていたからなんです。

 いやあ、でも、チームが勝ち続けているときの雰囲気は絶対良いし、昨季のように苦しい戦いが続いているときは空気も悪くなっていくじゃないですか。毎日試合があってしんどくて緊張もある中で、今季のように勝ちゲームが増えていけば、自然と雰囲気は良くなるんです。ムネ(村上)たちのように、試合に出ている人が良いプレーをして良い試合をして勝つことが、雰囲気を良くするのには一番いいんですよ。

――だからこそ、打線が湿りかけたときや、優勝が近づく中で連敗したときなど、嶋選手の存在は大きかった、と。

 まあ、どうしても負けが続いたりとかするとマイナス思考になりますし、負け慣れているチームは先制されたり追いつかれたりするだけで「今日も負けるのかな」という雰囲気になりますからね。だからそういうときに、出ている選手を気持ちよくグラウンドに送り出したり、冗談を言ったり。ロッカーとかで、少しでも緊張がほぐれたらいいなと思うときもありますし。僕がしているのは、その程度です。特別にあれをした、これをしたっていうのは正直ないんですよ(笑)。僕は楽天にいたとき、何度も最下位を経験しましたし、逆に優勝して日本一も経験しました。両方経験できているので、上位を目指していくのにどんな雰囲気を保てばいいのか、なんとなく僕の中で理想があったので。そのために声も出すし、鼓舞もするし。若い選手と一緒に練習したり、野球についていろいろ語り合ったり、相談に乗ったりとか、そういうことはしました。ただ僕以外にも、慎吾(川端慎吾)や晃大朗(山崎晃大朗)や、ほかの若い選手たちも試合に入り込んで一生懸命声を出してくれていたし、そういう一つひとつの積み重ねが、試合に出ている人の勇気になって、彼らの良いプレーにつながったのかなとは思います。

――シーズンを通じて、ベンチの雰囲気は常に明るく前向きでした。

 これは僕がキャッチャーをやっていて思っていたことなんですが・・・

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