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昭和ドロップ【広島カープ編】

オヤジたちの深堀りTALK 昭和ドロップ 第4回「古葉竹識さんの思い出」

 

好評をいただいた「昭和ドロップ! 広島編」2回目の取材をまたも金石昭人さんの「寿司かねいし」で開催。直前に3人の恩師である古葉竹識さんの訃報が飛び込み、最初のテーマは「古葉竹識さんの思い出」とした。
構成=井口英規

こば・たけし●1936年4月22日生まれ。2021年11月12日死去。熊本県出身。済々黌高から専大を中退、日鉄二瀬を経て58年に広島入団。70年に南海移籍、翌71年に現役を引退して72年からコーチに。74年に広島に守備コーチとして復帰し、翌75年途中に監督就任。チームを初優勝に導いた。85年限りで勇退。87年から89年までは大洋の監督も務めた。


──『昭和ドロップ!』広島編は、前回に続き都内「寿司かねいし」での開催ですが、場所は、お店の別室をお借りしました。きれいな部屋ですね。

金石 カラオケもできますから、いつでも言ってください(笑)。

川口 俺か? 歌わんよ(笑)。あした仙台で巨人OBチャリティマッチがあるんだ。久びさの試合に向けて、体力を蓄えとかないとね(11月20日、巨人OB対ネッツトヨタ仙台軟式野球部戦。金石さんも参加で、このあと2人で出発していった。後日談だが、川口さんは先発し、2回を無失点の好投。「カーブが決まったね」と話していた)。

小早川 前回は自分たちで話したことではあるんですが、ついつい読み込んでしまいました。面白かったです。われながら、すごい時代だったなって(笑)。

──まずは、先日(11月12日)亡くなられた古葉竹識さんの話からお願いします。3人のカープ入団時の監督ですし。

金石 第一報は、川口さんからのメールでしたね。

川口 そう、すぐ送った。古葉さんは俺にとっては大恩人でね。1980年秋のドラフトで原(原辰徳)さん(東海大-巨人)の外れ1位でカープに入団したんだけど、本当は、ドラフト外で入団する予定だったんだ。それを古葉監督が「川口を1位に」と言ってくれたらしい。

川口さん[左]と古葉監督


金石 僕と同じドラフト外入団だったかもしれなかったんですね。

川口 そうそう。しかもさ、1位になんて誰も予想してないから、俺がいた会社のデュプロもそうだけど、広島の街も騒然としたらしいよ、「川口って誰だ?」って(笑)。古葉さんが僕に言ったことで一番思い出すのは、「江夏を出したんだぞ」というひと言。ドラフト会議のあと、江夏(江夏豊)さんがトレードで日本ハムに移籍して、俺は入れ替わりだったんだ。「お前は江夏の代わりだからな」って言われたときはきつかったけどね。言いたかったよ。「いやいやいや、あんな大投手の代わりは無理です!」って(笑)。

金石 江夏さんを出したあと、どうしても左を充実させたいという古葉さんの青写真の中に川口さんが入っていたんですよね。僕は川口さんの1年前、80年の入団だけど、3年目くらいまでは、視界に入ってなかったと思う。実際、野球はほとんどしてなくて、もう陸上部でしたからね(笑)。毎日、走ってばっかりです。当時は古葉監督とも、ほとんど口をきいたことなかった。二軍の選手は一軍の監督との接点自体ほとんどなかったから。

川口 当時のカープは、一軍と二軍で距離があったよね。

金石 投手陣は一軍メンバーが固定されて、よほど結果を出さんと二軍からは上がれなかった。なのに即戦力新人が次々入ってきましたからね。あのとき「川口、ケガしろ!」って思っていた二軍の選手がいっぱいいましたよ(笑)。僕は、4年目くらいから体もピッチングもやっと野球選手らしくなって、それからは古葉さんの青写真の隅の隅の隅くらいには入れてもらったかもしれないです。毎年チャンスも与えてもらいました。オープン戦の中盤くらいまでですけどね。

川口 最初は若手主体でいくもんね。

金石 はい。でも、なかなかチャンスを生かせなかった。ものにできれば一軍まで残れるんだけど、いつもダメ。それで6年目かな。自分の中で、これが最後のチャンスだなと思った年も、なかなか結果が出せなかったんですが、山根(山根和夫)さんが故障で投げられなかったヤクルト戦で代わりに投げ、完投勝利をしたのがきっかけでした。

川口 確か85年だよね。最後のワンチャンスをものにしたんだ。

金石 最後の最後だったと思います。そのとき古葉さんが「ナイスピッチング」って言ってくれたひと言は、自信になりましたね。85年は初めて一軍に定着し、6勝したんですが、それが古葉さんの監督最後の年で、僕が2ケタ勝ったのは翌86年、阿南(阿南準郎)さんが監督になってからだったんですよ、古葉さんが監督のときに入団したので、古葉さんがやっている間に一軍に上がりたかった。そのあと僕は日本ハムに移籍になりましたが・・・

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