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2021プロ野球総決算号

【2021惜別球人】野球を愛した男たち

 

昨年も多くの選手が野球人生に終止符を打つ決断を下した。野球を愛し、球界を盛り上げた男たち。白球にかけた、尊い野球人生を振り返っていく。
※経歴の[]内数字はドラフト順位。

ソフトバンク・長谷川勇也「訂正します。長谷川勇也のプロ野球生活15年間は、順風満帆な野球人生でした」


[C]SoftBank HAWKS


 打撃一閃――。打席に向かう際にバックスクリーンの大型ビジョンに映し出される和テーストの映像とその文字は、長谷川勇也を指し示すのにふさわしい。ホークス一筋15年。打席で結果を残すために常に自らの打撃を磨いてきた「侍」「職人」のような男。2013年には球団記録となるシーズン198安打を放ち、首位打者&最多安打者のタイトルを獲得した。

 しかし、14年に痛めた右足首は、年を追うごとに長谷川に重くのしかかった。バッティング感覚と体のズレを何とか修正しようとしたものの、なかなか思うようにいかず、練習と試合でのパフォーマンスの違いに突きつけられた自らの限界。10月8日に現役引退を発表し、翌日に行った会見では、自らの野球人生を「順風満帆ではなかった」と振り返った。

 ただ、最後まで長谷川勇也は長谷川勇也だった。10月21日の日本ハム戦(PayPayドーム)、7回に来た最後の出番。一死二塁のチャンスを生かせず一ゴロに倒れたが、気迫のヘッドスライディングを見せた。そして、誰よりも悔しさを露わに。結果は出なかったものの、それもまた長谷川が語った「山あり谷ありの野球人生」の一部だった。それゆえに、試合後に行われた引退セレモニーでは晴れやかな表情で、こう言い切った。「訂正します。長谷川勇也のプロ野球生活15年間は、順風満帆の野球人生でした」。

 それから数日後。長谷川は再びユニフォームに袖を通した。任されたのは一軍打撃コーチ。「選手のために、同じ熱量を持って」。立場は変わっても、変わらない野球への情熱で、仲間たちとともに頂点を目指す。

【経歴】
ソフトバンク07大学生・社会人[5]
■1233試合、1108安打、76本塁打、434打点、78盗塁、打率.288。
■首位打者13、最多安打13、ベストナイン13。

中日・山井大介「記録よりも記憶に残る選手と言ってもらえて誇りに思います」



 背番号29を背負い、ドラゴンズ一筋で20年。今季は43歳の球界最年長投手でもあった。通算成績を見れば物足りなく、負け越してもいる。「そこは逆にしたかったですね」と笑ったが、ここまで現役を続けられたのは飽くなき向上心があったから。誰よりも投げ、誰よりも走った。先発、中継ぎ、抑えと、どのポジションもこなした。「悔いはありますけど、やり残したことはないです」と言い切った。

 山井大介と言えば永遠に語り継がれるだろう2007年の日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)・・・

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