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2021プロ野球総決算号

エンゼルス・大谷翔平 まだ、始まりに過ぎない。「自分がどこまで行けるかという限界は分からないし、てっぺんも見えていません」/世界一へ挑戦し続ける日本人メジャー2021

 

昨季、投打の“二刀流”で全米を熱狂の渦に巻き込んだ。メジャー4年目の大谷翔平。投手として9勝を挙げ、打者として46本塁打をマーク。満票でア・リーグMVPに輝いた完璧なシーズンだったが、それもまだスタートラインに過ぎない。
文=石田雄太 写真=Getty Images

打者、投手ともにどこまで成長を果たしていくか、その才能は底知れない


打者と投手は“同い年”ではない


 大谷翔平は本当に2人いた。

 ピッチャーの大谷とバッターの大谷――昨年のメジャー・リーグのオールスターゲームでは“一番・DH、大谷”と“先発ピッチャー、大谷”をともに認めるという特別ルールが採用された。要するにピッチャーの大谷とバッターの大谷が、2人揃そろって同じ試合に出るという、あり得ないことが現実となったのだ。

 そもそも「翔平は2人いる」と最初に口にしたのはファイターズの前監督、栗山英樹監督だ。今から9年前の秋、花巻東高校の大谷翔平を獲得した直後、栗山はこう言った。

「今年はドラフト1位を2人獲れたようなもの。ピッチャーの大谷翔平と、バッターの大谷翔平(笑)。2人ともドラフト1位クラスの逸材なんだから、そりゃ、二刀流だってやりたくなるでしょ」

 当時、栗山のこの言葉に(笑)をつけたくなった気持ちも理解してもらいたい。投打ともに大谷の実力が抜きん出ていることは理解できても、「2人いる」という表現がどういう形なら現実になるのかをイメージすることは難しかった。しかしあれから9年を経て、栗山の「翔平が2人いる」という言葉はMLBのオールスターゲームという、とてつもない晴れ舞台で現実となる。栗山はつい先日、こう言っていた。

「翔平の投打を見れば、分かる人には分かる。あとはそれを形にするかどうか。変えられるところは変えればいいし、これから規定打席とか規定投球回数も翔平が理由で変わるかもしれない。本当に大谷翔平は2人いるんだ。メジャーのエースと言われるピッチャーになって、メジャーの四番と言われるバッターになる。今年、バッターのほうはまあまあ“普通の翔平”になってきたよね。彼の能力が出始めた感じ。でもピッチャーのほうは“相変わらずの翔平”(苦笑)。投げるときにバタつくし、もっと安定してきてもいい。本当の技術を身につけるための身体の安定がもう一つ、足りていないのかな」

 2人いる、と言っても、じつはその2人は“同い年”ではない。バッターの大谷が成熟した大人なら、ピッチャーの大谷は発展途上の若者だ。野手だった父の手解ほどきを受けてバッティングを学んだ子どものころの大谷は・・・

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