週刊ベースボールONLINE

2021プロ野球総決算号

林晃汰、小園海斗、坂倉将吾 頭角を現したカープ若手三銃士

 

昨季、春先に新型コロナ禍に襲われ、3年連続のBクラスに沈んだ広島。しかしそんな中で希望の光となったのが、若手野手の台頭だった。坂倉将吾小園海斗林晃汰。3人の左打者が、それぞれの持ち味を発揮し、躍動した。2022年は鈴木誠也がチームを離れる可能性もあるが、その遺伝子は間違いなく彼らが受け継いでいくはずだ。
文=前原淳

もし誠也さんが抜けても俺たちが! 左から林晃汰、小園海斗、坂倉将吾


「価値ある484打席」坂倉


 2018年のリーグ3連覇から、広島は昨季、3年連続Bクラスに終わった。オフには鈴木誠也のポスティングによる米大リーグ移籍が決定的となっている。3連覇したチームから新井貴浩石原慶幸らが引退し、丸佳浩巨人へFA移籍。そして若き主砲までもチームを離れる……。転換期を迎えた中、21年シーズンは次世代を担う若手の台頭がみられた。

 昨年5月、開幕ダッシュに失敗した佐々岡カープに追い打ちをかけるように、チーム内に新型コロナウイルスのクラスターが発生した。主力野手や先発ローテーション投手の離脱によって戦力は大きく低下。重い空気は感染者が復帰してもしばらく続いた。影が強ければ、光はよりまぶしく見えるものなのか。苦しい戦いの中で躍動した若い力が、大きな希望となった。

 筆頭はセ・リーグの並み居る強打者たちの中で、鈴木誠に次ぐ打率を残した坂倉将吾だろう。阪神佐藤輝明DeNA牧秀悟ら大卒新人と同学年。注目度は彼らに譲っても、成長度は彼らにも負けていない。昨季は本職の捕手だけでなく、一塁でも起用された。安定した打撃と勝負強さから、不慣れなポジションでも出場機会を増やしスタメンに固定されるようになった。6月22日のヤクルト戦(マツダ広島)以降はほぼ五番に定着。9月7日の中日戦(マツダ広島)では昨季チーム初のサヨナラ勝利を呼び、自身初シーズン2ケタ本塁打となるサヨナラ弾を右翼席にたたき込んだ。

 同日、プロ入り初の規定打席に到達し、打率.332でリーグトップに躍り出た。「あまり意識していません」。平静を装っていたが、見えない重圧はあった。自分が変わらずにいようとしても、打率ランキングの最上位には自分の名前があり、打席に入る前、バックスクリーンに表示される打率の数字も目に入る。相手バッテリーからのマークも厳しくなり・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング