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週ベ特別表彰! わがチームのMVP

巨人・高橋優貴 11勝に得た教訓 「『自分がチームを何とかする』という思いがないと、この先の成長はない」

 

編集部が独自の視点で2021シーズンの“チームMVP”を表彰する短期集中連載。第3回はプロ入り3年目で先発投手の1つの目標でもある2ケタ勝利に初めて到達、ジャイアンツの勝ち頭となった左腕だ。
取材・構成=坂本匠 写真=桜井ひとし、BBM


開幕前の危機感


 巨人入団3年目で初めて先発ローテーションを守り抜き、11勝はリーグ3位、チームではトップの好成績だった。開幕時点では先発6番手だった高橋優貴は、4月月間5勝などで前半戦、主力が相次いで離脱する苦しい状況の中、首位を争うチームの確かな原動力となった。

――プロ3年目で初めてシーズンを通して先発ローテーションを守り抜きました。大きなテーマの1つだったと聞きます。

高橋 2021年の元日に『絶対に1年間、一軍のローテーションを守るんだ』という誓いを立てました。勝ち星よりも何よりも、先発ピッチャーとして、まず成し遂げるべき目標だと感じていたので。20年は後半戦にケガから復帰して、2年連続でリーグ優勝、日本シリーズを経験させてもらいましたけど、正直、僕は何もできていません。モヤモヤしていたというか、すごく悔しいシーズンで……。

――その20年はオープン戦期間中に、左ヒジの痛みを訴えて、開幕一軍を逃し、一軍復帰は10月までずれ込みました。

高橋 野球人生の中でシーズン中にケガをして、チームの力になれないというのは、初めての経験なんです。チームメートが必死に戦っているのを、見ることしかできない。複雑な気持ちで毎日を過ごしていたのが、正直な心境です。あまり痛みに繊細ではないので(苦笑)、ある程度であればやれてしまうような気はしていたんですが、厳しい現実がありました。

――二軍復帰は7月後半で、一軍復帰は10月7日。約半年にわたる離脱の経験が、21年を戦う上での原動力だった、と。

高橋 そうです。もちろん、まずは「チームの日本一」が大前提としてあるんですが、その力になるために「1年間、一軍にいる」ということを決めて挑んだシーズンだったので、自分で立てた目標を実行できたことは良かったなと思います。

――当初は開幕ギリギリまで先発ローテーションの6番手を争う立場でした。

高橋 3月の上旬には1度は決まった、と思っていました。ただ、開幕2週間前の阪神とのオープン戦(3月14日、甲子園※5回65球3安打1本塁打2四球1失点)のあと、二軍行きを命じられました。「ここで外れるか」、と。でも、逆に開き直れた自分はいますし、このまま行っても良くないな、と思う部分も確かにありました。それを原(原辰徳)監督が見抜いていて、危機感を持たせてくれたのかな、と今なら思えます。当時は「何で?」でしたけど(苦笑)。振り返れば阪神戦での投球は攻めていく姿勢など足りない部分はありますし、開幕までの期間、二軍でも自分に向き合えたのも良かった。最後のチャンスであったファームでの西武戦(3月24日、カーミニーク※2番手で6回から登板し、3イニングを6奪三振)も結果にこだわって投げたことが、開幕6戦目の先発につながったと思います。

――4月1日の中日戦(バンテリン)で1勝目を挙げてから、28日のヤクルト戦(神宮)まで開幕5連勝です。3&4月の月間MVPも受賞します。

高橋 成績だけを見ると、開幕から2試合が自責ゼロですし、そのあともイニングをしっかりと投げられていて良さそうなんですが、状態自体はそれほどでもなかったんです。ただ・・・

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