自らに打ち勝たなければ、相手に勝てるわけもない。昨季、プロ入り初完封を含む3完投2完封で、チームトップの10勝を挙げた左腕だが、8月末から2試合連続で5回途中KOを喫した。躍進を呼んだ苦闘の日々──。マウンドに向かうまでの過程が、登板時に左腕の心を強くした。 取材・構成=鶴田成秀 写真=高原由佳、BBM 前を向くことの大事さをあらためて知った昨季。今季は背番号を14に変更し、左腕エースの期待を寄せられる
胸に刻む言葉
あの1週間が転機となった。2試合連続で5回途中KO。同じ失敗に気持ちが沈む左腕に、とある先輩からの言葉で前を向く。今となっては笑って振り返り、当時を“充実”と言えるのは、その後の快投を呼んだからにほかならない。帽子のツバ裏に記す言葉とともに、昨季後半戦の快投は、あの1週間から始まった。 ──初の規定投球回到達に2ケタ勝利を達成した昨季を振り返ると、どんな1年だったと言えますか。
小島 まず先発投手として1年間、投げることができたこと、そして2ケタ勝利と規定投球回を達成できたことは収穫でした。(調子の)波はあったんですけど、最後にうまく盛り返せたかな、と。やっぱり先発をやっている以上は防御率とかも大事ですけど、1年間投げ切ってチームに貢献することが大事だと思っているので。チームに何らかの形で貢献できたので良かったかなと思います。
──「盛り返せた」の言葉のように、失礼ながら後半戦は人が変わったような投球でした。要因は何なのでしょうか。
小島 ははは(笑)。自分でも、ちょっとそう思います。あの試合からですよね?
──はい。9月11日の
楽天戦(ZOZOマリン)でプロ初完投した試合です。
小島 その前の1週間に、いろいろあったんですよ。あの1週間は本当に充実していたというか。なんで充実していたかといえば、とにかく後悔しないように過ごそうと思っていたんです。
──直前の2試合は5回途中降板でした。
小島 だから自分ができること、考えられることをやろう、と。まずは調べようと思って、自分のデータや傾向、バッターへの攻め方、配球の軸となるボールをいろんな人に聞きに行ったんです。気持ちの部分でも、アドバイスをくださる人がたくさんいて。やっぱり考え方が一番でした。気の持ちようだったり、そういうのでコロッとうまく良いほうに変われたのかな、と思うんです。
──アドバイスをもらう中で、
美馬学投手の言葉も大きかったそうですね。
小島 そうなんです。先発投手同士なので一緒に練習をする機会も多いですし。投げない日の調整のときもウエート場で会うことも多くて。いろいろ質問することがあるんですけど、そのときに気持ちが軽くなる言葉をもらえたんです。
──どんな言葉だったのですか。
小島 簡単に言えば・・・
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