週刊ベースボールONLINE

2022 KEYMANに聞く

巨人・菅野智之(投手)インタビュー エースの魂「覚悟を決める。周りに対しても、自分自身に対しても」

 

日本一奪回はおろかリーグ3連覇も成すことができず、悔しさだけが残った2021年シーズン。自らもコンディション不良に苦しみ、思うような結果を残すことができなかった。それでもエースの矜持にはいささかの翳(かげ)りもない。背中を見せることで、チームをけん引していく覚悟だ。
取材・構成=杉浦多夢 写真=桜井ひとし、BBM


進化のための変化 スタート地点は上々


 メジャー移籍の夢を封印して迎えた2021年シーズンは4度にわたる離脱を余儀なくされ、大きなモチベーションの一つだった東京五輪への参加もかなわなかった。思うようにチームの力になることができず、悔しさばかりがつのったが、それでも最後の7登板に限れば防御率1.99と今シーズンにつながる確かな光明もあった。進化のための変化を求めながら、10年目のシーズンに向けて着実に歩みを進めている。

――昨年は4度の離脱もあり苦しいシーズンだったと思います。

菅野 開幕してからしばらくは良かったんですけどね。3試合目に完封して(4月16日、対DeNA、横浜)、次の試合もしっかりと最後まで投げ切ることができて(4月23日、対広島、東京ドーム、1失点完投)。ただ自分の中で、そこまでしか貯金ができなかったというか。それでも後半戦はある程度、自分のピッチングを形にできたと思える部分もありました。悪いことばかりではなかった、というふうには思っています。

――東京オリンピックへの出場もかないませんでした。

菅野 やっぱり悔しい気持ちはありました。もう一度、日本に残って野球をすると決めた以上、東京オリンピックは大きなモチベーションの一つでしたから。そういう悔しい気持ちも今後の糧になると思っていますし、していかなければいけないと思います。

――そうした悔しい思いも含めて、昨年末に沖縄の自主トレに臨むときから例年と違う気持ちがあったのでしょうか。

菅野 毎年そういう気持ちは持っていますけど、前年はまったく自主トレができていなかったので。

――MLB球団との交渉で渡米し、隔離もあって準備期間がとれませんでした。

菅野 そこと比べると今オフはしっかり準備ができました。僕の場合は1カ月という時間を使って、長い期間で仕上げていくので、逆に意気込み過ぎることなく、キャンプへ向けての準備期間というイメージでやってきました。宮崎キャンプでもS班というものを設けてもらったので、自主トレから継続して取り組んでいくことができましたね。

――そこがうまくつながったからこそ、キャンプ初日の一番乗りでのブルペン入りになったのでしょうか。

菅野 それは「自分に火をつける」ため。キャンプ初日にブルペンに入ったからといって何があるのかといったら、別にないんですけど、気持ちの部分や意志表示という意味で自分の中では大切なことでした。覚悟を決める。周りに対しても、自分自身に対しても。それで初日からブルペンで投げました。

――実際にスイッチが入った感覚はありましたか。

菅野 それはもちろん・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング