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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第102回「試合につながるキャッチボールをしましょう」

 

現役選手や元プロの野球教室は子どもたちへの影響も大きい[巨人時代の松井秀喜]


つながる力


 この間、昔、富士山の標高をどうやって調べたかというタモリの番組の話をしましたが(たぶん『ブラタモリ』)、同じNHKの鶴瓶の番組も好きなんですよね。ああやって初めて会う人の胸のうちによく入っていけるなって(たぶん『鶴瓶の家族に乾杯』)。あの人が野球をやっていたら、いいキャッチャーになったかもしれませんよ。いかにピッチャーの心をつかむかが大事な仕事ですしね。

 あと、あの番組ってつながるでしょ。親がやってるわけじゃないのに農業をしたいと言っていた子に、鶴瓶が「頑張れよ」とか言って、何年かして本当に「農業を始めました」という手紙がNHKに届いた話がありました。別に鶴瓶の言葉で決めたわけではないのかもしれないけど、そういうシンクロというのか、つながる感じがすごくある番組です。

 そういう感覚は野球でもあって、巨人の原(原辰徳)監督が「景色」という表現をしていたことがあったけど、例えば、守っていて打球が来たとき、「これからどうする?」と考えるんじゃなしに、パッとゲッツーを決めている像が頭に浮かんで、浮かんだ像のままにプレーができたりする。キャッチャーの僕なら、この1球が来たことで、このあとどんな配球をしたら、どういう結果になるか。頭に浮かぶようになる。まあ、試合やブルペンで、嫌になるほどボールを捕って、しかも四六時中野球のことばっかり考えたからですけどね。

 そういうつながりの大切さを今のアマチュアの野球の指導者は考えているみたいですね。少し前に、大谷翔平(エンゼルス)が高校時代にやっていたマンダラチャートが話題になったでしょ。真ん中に「8球団からドラフト1位」という目標を書き、その周りのコマにそのために何が必要か8つ書き出して、その1つずつを達成するためにものをまた8つ書き出して広げていくやつです。高校の野球部の監督が選手に長い作文を書かせたということも聞きましたが、あれもそうじゃないかと思うんですよ。長い文章を書くのもつなげていくということですよね。

 え? 僕の原稿は脱線してつながっていないことがある? 相変わらず失礼な人ですね(ダンプさんは毎回、この連載のもとになる長い原稿を渡してくれるが、結構、脱線が多い)。確かに、その原稿では結論につながらないこともありますが・・・

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