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<第71回全日本大学野球選手権大会>亜大、20年ぶり5度目の日本一

 

上武大との決勝は投打がかみ合い7対1で勝利。亜大は2002年以来、5度目の優勝を決め、神宮のマウンド付近で喜びを爆発させた


「素直さ」と「謙虚さ」野球を楽しんだ主将がMVP


 亜大が20年ぶりの大学日本選手権制覇を遂げた。6月12日、上武大との決勝は7対1で勝利。エース右腕・青山美夏人(4年・横浜隼人高)が9安打を浴びながらも、要所を締めて完投し、攻撃では途中出場の和久本澪(3年・常総学院高)が6回表の二死三塁からホームスチールを決めるなど、積極的な走塁で主導権を握った。

 勝敗を分けたのは主将・田中幹也(4年・東海大菅生高)の超美技だった。2回裏二死二塁から三遊間のゴロをダイビングで好捕し、先制のピンチを阻む。直後の攻撃。3回表一死二、三塁から田中の左前2点適時打で先制し、4回表にも適時三塁打を放ち、3打点の活躍を見せた。

「野球ができなくなるのでは……という状況からここまで回復し、周りの支えがあったから今がある。感謝したいです」。昨年、国指定の難病・潰瘍性大腸炎で2度の入院。昨年11月の新チーム結成当初はチーム本隊から離れ、闘病生活を送った。年明けに復帰すると2月中旬、主将交代で、田中がチームリーダーとなった。チームのために動く主将の背中を見た部員たちは、一つに結束した。

 生田勉監督は「力がないチーム。こんなことになるとは……」と明かした。春の開幕前から一部二部入れ替え戦を覚悟し、一部残留だけを考えてきた。一つひとつ課題を克服し、東都大学リーグ戦では勝ち点5の完全優勝、大学選手権も4試合を勝ち上がった。大会MVPの田中は言う。

「素直さ、謙虚さ。野球を楽しむことを念頭にやってきました」。一度は絶望を見たが“野球の神様”は、不撓不屈の主将に微笑んだのだった。

優勝会見後にポーズを取った[左からエース・青山美夏人、生田勉監督、田中幹也主将、和久本澪外野手]


■第71回全日本大学野球選手権大会結果

※丸数字は出場回数、延長[10回からタイブレーク]、コールド回数
※出場回数の取り扱いは中止の第69回大会を挟む


【表彰選手】
▼最高殊勲選手賞 田中幹也(亜大4年・東海大菅生高)
▼最優秀投手賞 山本奨人(佛教大3年・智弁学園高)
▼首位打者賞 上崎彰吾(東日本国際大4年・青森山田高)16打数11安打、打率.688
▼敢闘賞 進藤勇也(上武大3年・筑陽学園高)

写真=矢野寿明
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