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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第111回「二流には二流の生きる道があります」

 

世界の盗塁王・福本[背番号40]を支えたのは職人肌の二番打者たちだった


1回だけなら負けない


 ここのところ小言みたいな話ばかりでしたから、「ダンプみたいな二流選手がなんで偉そうに言うんだ!」と怒っている方もいるかもしれません。すみませんねえ。確かにプロ野球に22年半もいて、通算たったの418安打という絵に描いたような二流選手です。でもね、時々、1回だけなら人に勝てるようなことができたこともあるんですよ。外木場(外木場義郎。カープ1960年代後半から70年代半ばまでのエース)が投げているとき、カーブの握りが見えてホームランを打ったりね。ただ、残念ながら、それが続かない。

 現役のころは、もっとチャンスをもらったら打てるのにとか、使わないならどこがダメなのか、何がよくなったら使ってくれるのか言ってくれんかなと思ったことはしょっちゅうあります。なぜか誰も僕のキャッチングもバッティングも指導してくれんし、怒ったりもしてくれんかったから。何でですかね?

 でもね、試合にほとんど出んで、ブルペンでの時間が長くなっていくと、何でしょうね。いつの間にか、ピッチャーに気持ちよく投げさせたいとか、大したことなかったり、迷ってる選手に結果を出させてあげたいな、とか。人を喜ばすことが目標になるようになりました。もちろん、僕は仏様じゃない。それによって彼らが「ダンプさんに受けてほしい」と思ってくれたら僕の試合に出るチャンスも増えるだろうという計算もあります。

 プロの世界の歴史って、ピッチャーなら金田(金田正一)さん(国鉄ほか)、江夏(江夏豊阪神ほか)、バッターなら長嶋(長嶋茂雄)さん、王(王貞治)さん(ともに巨人)と強い投手、強い打者がすごい記録をいくつもつくって光り輝いています。でも・・・

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