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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第116回「ピッチャーに言うこときかせるには結果を出すのが一番です」

 

1971年、阪神・伊藤が巨人戦2試合連続完封[左がダンプさん]


投手を洗脳する


 え、昔の週べで最初のグラビアページ(写真メーンのページ。当時はカラーページはなかった)に僕の写真を見つけた? 何年ですか。1971年? だったら、あっても不思議じゃないですね。田淵(田淵幸一)が急性腎不全でダウンして、僕が全試合スタメンマスクの年ですから。

 どんな記事でしたか? ああ、伊藤の巨人戦2試合完封か……。前に話した歌手の花村菊枝の旦那の伊藤幸男ですね。近鉄から来た選手で、僕と年が同じだった。確かにあの年、僕とバッテリーを組んで、巨人戦で2試合連続完封をし、騒がれたことがあります(7月15、30日)。僕のことは何か書いてありましたか? ない、名前も何もまったくない(笑)。そうですか、キャッチャーは縁の下の力持ちという時代ですしね。まあ、大きく写真を載せてくれたならそれだけでいいとしましょう。

 このときよかったのは、伊藤の一番いい球、大きくドロンとしたカーブをうまく使えたことです。V9時代の巨人は速い球には強かったんですが、意外と遅い球には弱かったんですよ。でも、球が遅いピッチャーほど、速い球を投げなきゃ抑えられないと思って、余計な力が入って打たれちゃうんです。だから僕は伊藤に、そんな無理して速い球を投げなくていいから、まったく同じ大きなフォームで、遅い球とそれなりに速い球、そしてもっと遅い球を投げるよう練習してもらっていました。

 もう1つは配球です。バッターは遅い球が来ると、次は速い球が来ると予想しがちですけど、そこにさらに遅い球を投げるんですよ。遅いスライダーの次に、さらに遅いカーブとかね。もちろん全部同じフォームですよ。遅い、遅いを続けるときは、伊藤も怖かったと思うけど、僕のサインを信じて投げてくれた。それで巨人のバッターが面白いくらい凡打をしてくれたわけです。

 面白いもので、それで結果が出ると・・・

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