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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

連載ダンプ辻コラム 第118回「もったいなかった大洋の新井克太郎」

 

プロでは1勝に終わった新井


なぜ2試合目で打たれたか


 う〜ん、1回話したからと、この間、話しかけてやめましたけど、やっぱり新井克太郎のゲームの話はしといたほうがいい気がします。自慢話? 多少、自慢もありますけど(笑)、ちょっとだけ視点を変えたんで、前を覚えている人も楽しく聞いてもらえると思いますよ。

 新井克太郎は、(大宮工高から)ドラフト外で昭和53年(1978年)に大洋に入ったピッチャーで、なぜか名字だけじゃなく、フルネームで呼びたくなる男です。あの年、確か昭和56年(81年)だと思うけど、初めて一軍に上がったのですが、使いどころがない成長過程の選手と言えばいいのかな。敗戦処理みたいな場面で、ちょこちょこ出ていただけでした。

 それが8月の終わりに先発がいないということで中日戦に先発し(8月31日、横浜)、9回1失点の完投勝利をしちゃったんですよ。あれがプロ初先発だったはずです。もちろん、僕がキャッチャーをしてです。本人にとって、まったく初めての体験でしたから夜のスポーツニュースをその日の放送が終わるまで見ていたそうです。

 次の日、グラウンドに現れたときも、完全に喜びに舞い上がっていました。僕はそれを見て、「これはいかんぞ。早く落ち着かせないと、次の登板で失敗するかもしれんな」と思って、いろいろ言ったんですが、「はい」といい返事をしながらも足が地に着いとらん(苦笑)。こりゃ大変だと思っていました。

 それで1週間後(9月6日)、今度はナゴヤの中日戦で先発するとなった。でもね、残念ながら捕手は僕じゃなかったんですよ。大洋はほかにベテランの捕手がいたからね。で、俺じゃないなら打たれろ……と思って、いや冗談です(笑)。「抑えろ、抑えろ、頑張れ、頑張れ、新井克太郎!」と祈りながらも・・・

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