空前の“混パ”が続いている。残り20試合を切りながらソフトバンク、西武、オリックスが9月11日現在、ゲーム差なしで上位3位内にひしめき合う。果たして、最後に笑うのはどこか。 
9月10日のソフトバンク戦(京セラドーム)で勝ち越し弾を放ったオリックス・吉田正尚[写真=牛島寿人]
オリックスの躍進
「胃が痛いよね。胃薬用意しときますよ」
ソフトバンクの
藤本博史監督がそう言って顔をしかめる。9月11日のオリックス戦(京セラドーム)で、4対0とリードしながらミスもあって1点差まで追い上げられた。最後は
モイネロが締めて4対3と逃げ切り、連敗を3で止め、前日首位に立ったオリックスを抜き、再び首位にはなったが、指揮官の表情は渋いままだった。
パ・リーグは、9月11日現在、1位のソフトバンクが勝率.5284、2位の西武が.5275、3位のオリックスが.527。ゲーム差は0で3チームがひしめき合う大混戦となっている。

11日のオリックス戦(京セラドーム)で先制3ランを放った柳田悠岐[写真=牛島寿人]
序盤独走した
楽天の急失速後、ソフトバンク、西武の僅差の戦いが続いていた中、この空前の3強決戦をつくり出したのは、前年王者・オリックスの躍進だった。開幕から新型コロナ禍の影響もあって大きく出遅れ、5月11日時点では1位の楽天に11.5ゲーム差をつけられたが、他チームの足踏みもあって、少しずつ差を詰めていった。
最初の「0」は9月4日だ。同日に行われた直接対決(PayPayドーム)で首位のソフトバンクが2位の西武に敗れ、3位のオリックスが
ロッテに勝利したことで(ZOZOマリン)1〜3位が初めてゲーム差0。1950年からの2リーグ制後、9月以降に上位3チームがゲーム差0は1953、2001年に続き3度目だった(前後期制のパは除く)。
10日にはオリックスがゲーム差なしの首位・ソフトバンクを5対2で下し、ついに単独首位に立つ。この試合は、エースの
山本由伸が7回2失点で13勝目、吉田正尚にも勝ち越しの15号ソロが飛び出し、投打の主役による理想的な勝利だった。山本は「優勝争いができていることに幸せを感じる」と語り、前年の優勝が大きな自信になっていることを感じさせた。
主砲の
山川穂高の不振もあって苦しい戦いが続いている西武は、11日の
日本ハム戦(ベルーナ)で
與座海人が先発。5回無失点で自身初の2ケタ勝利を飾った。8月13日に9勝目を挙げたあと3連敗、しかも9月3日、首位攻防戦のソフトバンク戦(PayPayドーム)で5失点KOとなっていただけに「ふがいないピッチングが続いてしまったので、今日勝てて非常にうれしいです」とお立ち台で涙を浮かべ語った。

11日の日本ハム戦(ベルーナ)を5回無失点で10勝目を挙げた西武の與座海人[写真=川口洋邦]
上位3強がつぶし合いをしている中、勝率ラインが下がり、貯金2の4位・楽天も3チームに2.5ゲーム差と十分圏内にいる。
残り試合数はソフトバンクが18、西武とオリックスが13、楽天が17。果たしてドラマの結末はいかに。